早稲田という駅は2つある。  東京メトロの東西線早稲田と都電の早稲田。同じ名称でも、場所は歩いて10分以上かかるほど離れている。  東西線の開通よりも都電の方が早く開通していたから、都電の方が堂々と「早稲田」を名乗ってもよさそうなのだが、都電の早稲田周辺はうらびれていて、いかにも東西線に名前を譲ってしまっている感がある。。  終点の早稲田で都電を降りてキャンパスとキャンパスの間を通り抜けると、早稲田大学の校舎がが見えてくる。早稲田大学のシンボル校舎になっているのが、今日の一葉である大隈講堂。  私が「都電の取材をしている」と言うと、早稲田大学出身の編集者や新聞記者は、相好を崩して「早稲田の出身だから、都電にはすごい思い出があって懐かしいです」と口を揃えるのだ。  まだ、地下鉄よりも都電の方が、都民には馴染み深かった時代。  都電に乗って池袋に遊びに行ったり、すぐ近くの面影橋・雑司ヶ谷付近に下宿していた学生が多かったということだろうか。  現在は早稲田が終点になっているが、以前はさらに線路がつながっていて、早稲田の向こう側には車庫前という電停があった。文字通り、都電の車庫がそこにはあった。そこは、現在、都バスの営業所になっている。 大隈講堂