王子駅前を降りると、目の前にはテニスコートが広がっている。  そんな光景を見ながら栄町方面に歩くと、奇妙な施設が見えてくる。  踏切を渡って、その施設に近づいてみると、それは都電の変電所だということがわかる。  変電所の周りには、たくさんの放置自転車が並び、人寂しい感じがするのだけど、都電は文字通り電車なのだから、その動力源は電気であって、この変電所が都電を動かしているといっても過言ではない。  要するに、ここは都電に電力を供給する中枢システムというわけだ。  常日頃、ひっそりとしているこの変電所が、影ながら都電を支えていると考えると、見えないところに汗と涙と血の滲むような努力と苦労があるのだなぁと思ってしまう。  たまに、見えない苦労を思って、心密かに都電で働く人々に頭を下げたくなる。   変電所