山手線と都電が交差する大塚駅前は、明治期から発展した古い街である。
赤線の名残を色濃く残した大塚だが、地下鉄や山手線による池袋の繁華街化、私鉄の影響による郊外化の波で、少し寂しい街でもある。
そんな大塚駅前から見える小さな駅前商店街には、鳥居がそびえ立っている。
一見、昔からの門前町の名残なのだろうかという思いも沸くのだが、ほとんど気にしている人はいないだろう。
この鳥居をくぐり歩いていくと、こぢんまりとした天祖神社がある。
境内はそれほど大きくないのだが、この境内の片隅にはあの君が代にも歌われたさざれ石が安置されている。つまり、天祖神社はかなり由緒正しい神社ということになる。
君が代にも詠まれたあの石が、こんな人知れない場所にある。
そんな光景を見ると、君が代も案外庶民的な気がしてくる。