解説者の流儀 ⑩ | 戸田和幸オフィシャルブログ「KAZUYUKI TODA」Powered by Ameba

解説者の流儀 ⑩


 ⚫︎解説者として日本サッカー界へ貢献する


解説者とは、特殊技能を求められる仕事だと僕は考えている。

ピッチで起きる事象を言語化するのは、まったくもって簡単な作業じゃない。元選手だから できるというわけでもないという矜持がある。だから、僕はこの仕事にフォーカスし、極めた いと思って、今日まで心底打ち込んできた。


過去の経験を頼りにしてしまうと、間違いなく失敗する。

なぜなら、サッカーは日々ものすごいスピードで進化しているからだ。
我々解説者は、常に変化し進化するサッカーに置いていかれないよう、自分の知識をアップデートしなければならない。


イングランドのスピード感。ときには戦術を越えるアスリートとしての力。
ドイツでのコンパクトな3ラインを90分間保ったなかでの機能性あふれる攻防。

スペインのアメーバーのように動きながらプレーする戦術レベルの高さ。
イタリアの60歳近くになる監督が見せる、独自性 に満ちた最先端の戦術。そういった「現在形」を数多くの試合を見るなり、現地に足を運んで、 学ばなければならないだろう。


そして、過去の経験というのは、基本的には自分が主体のものでしかない。

しかし、我々解説者の仕事は他人が行なうものを読み解いていくことだ。
だから、過去の経験は助けにはなるが、それだけでは足らないし、頼ってしまうと失敗することになる。

「DAZN」の進出でサッカー中継にも多くの変化が生まれている。

コンテンツ数が増え、なかには実況アナウンサーだけ、もしくは英語のアナウンスだけの試合中継も登場した。「はたして解説者は必要なのか?」という議論も生まれてきている。


そんななかで、「戸田和幸なら」と言われるような解説者にならなければ生き残れない。


解説者という仕事に従事することで、この国におけるサッカーに対する認識を変え、価値を高めることに貢献したいという志を持っている。
試合中継に限らず、雑誌や新聞、インターネットなど、メディアに登場する機会もあるが気持ちは同じだ。


サッカーを見る側の知識の向上のために、メディアの存在は重要だ。そして我々の志が、日本サッカーの未来を変えるという自覚が必要だ。