ディテール | 戸田和幸オフィシャルブログ「KAZUYUKI TODA」Powered by Ameba

ディテール

  涼しくも熱いオーストラリア戦から暑くも熱くなりきれなかったサウジアラビア戦という二つの試合を終えました。

まずは無事にワールドカップ本戦出場を決めてくれた我々の代表に心からのありがとうという言葉を送りたいと思います。

アジアのレベルも上がっていると言われている中、通過して当たり前だという風潮もあり結果はもちろんのこと内容も求められるという大きな期待がプレッシャーとなるアジア予選を初戦に躓くという難しいスタートを切りはしましたが最終戦アウェイでのサウジアラビア戦という非常に難しい試合を闘う前に無事に本戦出場を決められてホッとしました。

相手が違う、気候含めた状況が違う、メンタルの状態も違うという違うことしかない二つの試合を比較する事にそもそも意味はありませんが片方の試合が何故嵌ったように見えその後の試合が上手く進まなかったとなったのかについて今回も残念ながら十分に検証する場は得る事が出来なかったのでサッカーを語る仕事をさせてもらってきた者としての考えを示してみようと思います。


3バックに3トップ、2ボランチに2インサイドハーフという形で敵陣からはっきりと「人を意識した」ハイプレスで相手のミスを誘発、またウィングバックにはSBが連動してアタックするなど敵陣でボールを奪い多くの攻撃する機会を作ったオーストラリア戦。

ハリルホジッチ監督が誰よりも相手の事を理解しているといったコメントを出していましたが確かにオーストラリアはGK含め全ての局面に於いて徹底してビルドアップからの攻撃を敢行してきました。

僕自身「ゲットスポーツ」にてオーストラリア戦を扱うにあたり彼らが3バックに変更したイラク戦からおそらく一番機能したと思われるコンフェデ杯チリ戦までの7試合を全て見て自分なりに分析をしました。

自分が見た全ての試合でオーストラリアは日本戦同様の繋ぐサッカーを行いました、そして毎試合ビルドアップのミスから大きなピンチを招き続けていました。

唯一日本戦前最後の試合となるチリ戦に於いてのみ、1トップのユリッチとシャドーに入ったケイヒルが守備時に於いては2トップの形を取りもう一人のトロイージが433で臨んだチリのアンカーに付くという2トップ+トップ下の形を採り敵陣からプレッシングを行いショートカウンターを狙うサッカーを実践し守備から攻撃の機会を創出していました。

もし仮にあの形でオーストラリアに「守備から」試合に入られていたとしたら日本としてはとても嫌だったのではないかと思われるサッカーでコンフェデ杯を終えたオーストラリアでしたが蓋を開けてみるとユリッチ・ケイヒルはスタメンから外れムーイも体調不良という事でしたがメンバー外、ストライカーではないクルーズを1トップの位置に置いての布陣でした。

試合展開としてもチリ戦での闘い方を踏襲するのではなく最終ラインから丁寧にビルドアップを採用したオーストラリアに対し日本が積極的に奪いに行くという構図。

3バックと2ボランチが動かない状態で一番近いところにパスを付けてビルドアップを行うという事は分析済みな上でオーストラリアが守備からではなくビルドアップから試合に入ってくると読んだのだと思いますしゲームプランとして積極的なプレッシングから入りボールの奪うポイントを中盤でと考え井手口と山口をインサイドハーフに置いたという事だと思いますが、その狙いはほとんどの時間に於いてかなりの効果を発揮しました。

またこのシステムに於いて難しくなるものとして挙げられるのが2シャドーの管理、アンカーの長谷部の両脇のスペースを如何にコントロールするかという事については両CBがプレッシングに連動する形で一つ前に出てしっかりケアをしてくれたので敵陣からスタートした守備時においては日本はほぼパーフェクトな守備を見せたと思います。
またその守備を「作った」という意味で前線の3人のポジショニングとスプリントでのアプローチは欠かせない要素となりましたが特に乾は流石スペインで叩き込まれたと思わせるポジショニングからのアプローチを見せていました。

非常にはっきりとした、別の言い方をすると徹底はしてきたものの相手に対する理解や対応力には欠けるオーストリアには対してしっかり事前の準備と戦略に基づいた人選をした日本が今回の予選に於いて一番「嵌った」と思わせるサッカーを見せました。

但し。

自陣に下がった状態での守備についてはサウジアラビア戦になって現象としてよりはっきり見られるようになる問題点があったと思います。

敵陣にて強いプレッシングを行う際には相手は自陣でロストした場合に備える意味でも大きくポジションを変えてはきませんでした(変えても良いと思いますがオーストラリアは全く変えなかった)、そして中盤の選手も基本後ろ向きでボールを呼び込む形になるのでこの試合の日本のようにしっかりとした狙いを持ちそこに対して大きなエネルギーを使って強いプレッシングを行うとよほどテクニックと判断レベルが高くないとパスを繋ぎながら敵陣へ進んでいくのは難しくなります。

とはいえプレッシングを敢行する側からみると自分達の最終ラインはハーフライン近くまで押し上げる事になるので後方には広大なスペースが存在し尚且つ相手ストライカーと1対1になりがちな状況を迎えるのでかなりのリスクを背負った闘い方と言えます。

オーストラリアがこの試合で日本の背後に落とすようなボールを何本使ったかを振り返ると限りなくゼロに近かったですが、その理由は2つ。
一つはオーストラリアが近いところから丁寧にビルドアップするサッカーを志向しているという事、もう一つは日本が敵陣からハイプレスを敢行した事。

この二つの要素が噛み合って試合は日本に優位に進んだと思います。


そんな中での37分のオーストラリアの攻撃、皆さんも覚えていると思いますが最終的にレッキーのシュートが吉田の足に当たりポストにも当たるという肝を冷やした場面があります。

もし映像があったらもう一度見てもらえたら有り難いですがこの場面ではまず日本が敵陣に攻め込み長谷部がプレスをかけられバックパスをするも奪われるというところから始まります、時間で言うと36分と少しのところです。

攻撃に出た日本は相手の攻撃を遅らせつつ慌てて陣形を整えようとスプリントで戻ります。


この一連の流れで日本は一度自陣まで下がる事になりオーストラリアは「守備」から作った流れで敵陣への進入に成功します。

相手の3バックに対するプレッシングが一時的になくなった日本はまずポジションをしっかり取る事を選択しますがその時の形が実はあやふやになっています。

敵陣でのプレッシング時は433、これは相手の陣形に対して非常に綺麗に嵌りましたが自陣で構えた時の形は何だったのか。

4141なのか451なのか、どちらとも言えるしどちらとも言えないが自分には451に見えました。
つまり中盤は横に並ぶ形という事です。
そして長谷部が横の二人より「少し」下がり気味のポジションを取る形、三角形ではなく潰れた逆三角形に近い形。

この自陣で守る際の日本の陣形にて長谷部と大迫の間に存在する空間、3ボランチ気味の中盤と1トップのひし形の中央に存在する空間の管理が2試合通じて上手く出来ていませんでした。


この場面ではオーストラリアの2ボランチの間に下りてきた14番トロイージに入った横パスを1タッチで昌子の背後に落とされています。
最終ラインの高さで考えて背後は消しつつ中盤エリアで奪いたいという形に間違いありませんが長谷部が機転を利かせてアプローチはしたものの距離が遠く制限はかけられず昌子の背後に走ったクルーズにパスが通っています。 
こちらです。
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また井手口と山口もまずは自陣でブロックを形成するというところに頭を置いてポジションを取っているのでボールホルダーである3バックの右CBへのプレスがない状況を見てまずはスペースを埋める選択をしています。
この事に付いては乾と浅野も同様、まずは一度中盤のラインに戻り451の一番左の選手として自分達の距離とバランスを整える事に専念しています。
結果として中盤ラインと1トップの間にあるスペースを使われそこから1タッチで背後に落とされたボールからの流れでポストに当たるシュートを打たれています。


そしてこの後の展開では一度相手に押し込まれ中盤3枚それぞれがどこに戻るかがはっきりせず結果として長谷部が右、山口が真ん中とポジションが入れ替わっています。


この流れで一度深い場所で起点を作られた後23番ロギッチからのクロスが入りますがここは一度はクリアします。

こぼれ球を拾われた後に左ウィングバックのスミスから6番スピラノビッチに、そして中央のトロイージと繋いでいきましたがご覧の通り中盤が吸収されてしまい素早いボールの動きとは言えないオーストリアに対しトロイージに対してアプローチ出来る距離にいる選手は一人もいません。
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中盤3枚も最終ラインに吸収され1トップの大迫も戻れず余裕を持って顔を上げたトロイージからボックス内に浮き球が入ります。
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21番のルオンゴが斜めに走り始めたので井手口は責任を持って捕まえに走っています。


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主審の横にいるのが長谷部、その後ろにいるのが井手口です。もう一つ付け加えるとCBも一度昌子の背後に出された時に吉田がカバーに入った流れでここまできているので二人のポジションは入れ替わっています。

この時は井手口が自分の前を斜めに走る21番ルオンゴを捕まえにボックス内まで責任を持って付いていきますが昌子が捕まえられると判断をしてマークを受け渡しています。

この受け渡すところまでは問題なかったのですが中盤3人のバランスと位置関係で見てみるとボールサイドに一番近くまた深い位置にいるのが井手口、その前に長谷部と山口となっています。


守備のスタートのところが上手く運ばず、その中でも井手口がしっかりルオンゴに付いていきました。
その流れで中盤3人の中で一番後ろに構える事になった井手口ですが昌子にマークを受け渡した後、ボールサイドから離れて元々の自分のポジションである左へと戻っていった事で井手口がいなくなったボールサイドのスペースに長谷部が下がる事になります。

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井手口がそのまま残り長谷部を1つ前に押し出す事が出来ていればバランスは保たれましたが井手口が左へ移動し長谷部が空いたスペースへと下がった為に更に最終ラインに中盤が引き込まれる形となり中盤と最終ラインがくっついてしまい3ラインではなく2ラインになってしまっています。 
仮に井手口がそのままボールサイドに残りカットインしてくるかもしれないルオンゴをケアしつつ長谷部に対して前に出ろと伝えられているとレッキーに下げられたボールに対しての長谷部の距離は随分近くなりますし間違いなくシュートは打たれない形で寄せられたと思います。

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結果ルオンゴからのマイナス気味のパスがバイタルで待つ7番レッキーに繋がり余裕を持ってシュートを打たれ吉田の足に当たりボールはポストに当たりました。

位置関係が変わり一番左にいる山口と長谷部の間、井手口が下がり尚且つペナルティスポットの辺りに立ってしまっているので相当に中盤が最終ラインに吸収されてしまいましたし中盤3人のお互いの位置関係が把握出来なくなっていると思われるので誰がボールにアプローチすべきかジャッジ出来ずの守備となってしまったと思います。

またセオリーで考えると日本の右サイドから中央にボールが移動してきましたから右に展開されて来た時に山口のポジションはもっと長谷部の近くに来ていなければならないはずですが一連の流れの中でお互いの位置関係は崩れましたから瞬間的にイニシアチブを取る人間が決められず一番怖い中央にスペースが生まれてしまったのだと思います。
  
敵陣でプレッシングを行なった時には各選手の役割が非常に明確だった事とオーストラリアが丁寧に繋ぐビルドアップを採用した事もあり十分に機能した日本でしたが自陣での守備を強いられた時にはボールホルダーに対する1stDFがなかなか決められず後半に入ると酒井宏樹の素晴らしいカバーリングで事無きを得はしましたが決定的な場面を作られています。


前半の中でも自陣でセットせざるを得ない状況時にこの場面のきっかけとなった「中盤と1トップの間」の空間でフリーでボールを受けられるという場面が何度かありましたが相手が一番嫌なところを狙って来ずに足元に繋ぐ選択をしてくれたのでという場面がありました。
こちら11分40秒の場面です。
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失い方が悪かった日本は慌てて自陣に下がりブロックを形成しますが最終ラインの高さに対しての中盤ラインの位置とボールホルダーの状況を考えると非常に危険な状況だという事が良く分かります。

仮にボールを持っている選手が日本の誰かだったら、間違いなく背後に走る選手にパスを出すでしょう。
それくらい危うい場面です。


そして451で構える日本はご覧のように自陣で構えた時にはどうしても横並びになってしまい自分達の前でボールを持った相手選手に対してのアプローチが遠くなります。

加えると中盤で相手の攻撃に対する制限かかけられていない状況にも関わらず最終ラインが後方に下がる準備が出来てない事も気になります。



そしてこちらは20分30秒の場面。
序盤の勢いがひと段落しややプレッシングを行うもやや中途半端な形となってしまい自陣に入り込まれクリアした後の守備の場面です。

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井手口の脇を使われ一度長友サイドまで持ち込まれ、そこから23番ロギッチに戻された後の場面。
幸いに狭い場所を選択してくれたので長谷部がカットする事が出来ましたが一番下にいるのが3番スミス、その上でボックス方向に走り出しているのが22番左ボランチのアーバインです。

もしロギッチが狭い場所を選択せずにあと少しタメを作って逆サイドを選択したとしたら、酒井宏樹は走り込んで来たアーバインを捕まえる判断を強いられた中で外側から入ってくるスミスもケアしなくてはならないという困難な状況を迎えていたと思います。
この試合でのスミスのパフォーマンスは非常に低調で母校メディアからも批判を受けていますがこの場面においてももし彼がより高い位置まで出てきていたらという見方も出来ます。

この時の中盤の形もボールのラインまで井手口・長谷川・山口の3人全員が下がっているのでロギッチはもちろん斜め後ろからサポートに入っているルオンゴも完全にフリーになっています。
451の4と5の距離が近くなってしまい尚且つ中盤5枚のうちの中央3枚の自陣での守備陣に於ける役割がはっきりとは定まっていないので誰がボールホルダーにアタックするのか素早く決められていません。


ですからロギッチからルオンゴに繋がれていたとしてもそこからの展開は相当に余裕を持って作る事が出来てしまうと考えられます。


この時に一つ気になるのは1トップの大迫は何故戻っていないのか、という事です。

通常自陣で守備を行う際、それが442でも4231でも541に於いてもですがある程度リトリートした状態で守備をする時にはトップも中盤との距離が離れすぎないように戻りつつ相手のボランチを経由した展開をさせないポジションを取ります。

しかしここで挙げさせてもらった場面を見ると画面に大迫は入ってきません。

では彼は守備をサボっているのでしょうか。


違うと思います。


1つは中途半端な形にはなってしまったがプレッシングを行なったので戻るのに時間がかかったという事、そして自陣まで入り込まれたので次の準備として奪った後のターゲットになる為の準備をしているのだと思います。



もちろん中盤の選手達もサボってなんていません。

皆必死に頭を働かせながら走って闘っています。

闘ってはいますが機能しきれているとは言えないと思います。

その理由は自分達の立ち方に問題があるからだと思います。



引き込まれれば引き込まれるほどにアンカーポジションの選手はCBの近くに下がる事になりそこにいるだけになってしまいます。

これは自分自身の経験も踏まえての意見ですがこの形になってしまうとアンカーポジションの選手はそこにいるだけとなってしまい意味が薄れてしまいます。

この場面のように相手が「そこ」を狙ってくれた時には防波堤となる事が出来ますがそうでない場合中央に人が多くなってしまい中盤の前のスペースとサイドが手薄になります。

ですから解決策として自分が考えるものは2つ。


一つはインサイドハーフを出す事。

もう一つはアンカー自身が前に出る事です。


この2つの事が必要ではないかと考えています。


その2つの視点から考えるとこの場面では山口はもう少しボールサイドに寄りつつルオンゴへのパスを狙える準備をしてもらいたい。
そして長谷部はカットインしてきたロギッチに対してもう少し前にポジションを取りつつ縦パスのコースはしっかりと消しながらアタックをし仮にロギッチからルオンゴにパスが出たところには山口が連動してアタックをする。
更にはルオンゴの後ろから大迫が挟み込みを狙うといった守備が理想だと考えます。

そうすればリトリートした状況に於いても中盤の前のエリアでフリーでボールを持たれる機会はかなり減らせますし下げさせた上で再び全体を押し上げて奪いに行く形にスムースに移行出来ると思います。

2ボランチにの場合はこうした問題は出にくくなりますがアンカー+2インサイドハーフの時は横に一列に並んでしまうと誰もアタック出来ないという現象が起こる事があるので自陣で守る際のイメージをもう少し持っておいた方が良いのではないかと考えます。

今回はオーストラリア戦の前半の中から抽出しましたがサウジアラビア戦にも同様の場面が出てきますし失点場面もここで挙げた現象に非常に似た状況から生まれてしまったものなのでまた時間を見つけて表現してみたいと思います。


トップレベルで言うとリヴァプールやナポリは433のアンカーポジションのヘンダーソンやジョルジーニョが2インサイドハーフを追い越して相手を捕まえにアプローチする場合が頻繁にあります。
彼らの基準はあくまで「ボールに一番近い選手は誰か」だという事だと思われますが躊躇なく相手に襲いかかり追い越された2人のインサイドハーフは即座にダブルボランチの役割に切り替えフォローに入る事が出来ます。


こちらはCLプレイオフ、リヴァプール対ホッフェンハイム戦でのヘンダーソンの守備です。
守備位置が取り上げている日本のものとは違いますが位置が高いにも関わらずアンカーのヘンダーソンのポジショニングの高さを見て下さい。

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センターサークル中央にいるのがヘンダーソンです。

1トップのフィルミーノがいてその後ろに中盤が5枚、両ウィングのサラーとマネも中盤のラインに入って5枚の中盤を形成しています。 

この時のホッフェンハイムは点差もついてしまった状況ではありましたがゴールを目指し変速の4バックに2ボランチという形で左サイドに高い位置取りをした中でビルドアップを行なっています。


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2CBとフィルミーノのところ、2対1の状況からの流れです。
左CBからボランチにボールが入りますがこの時既にヘンダーソンは2インサイドハーフより前に出つつある、自分が一番近い選手だという事でスタートを切っています。

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プレッシャーをかけられたボランチのデミルバイ、この選手は非常に視野が広く精度の高いパスが出せるドイツ代表選手ですがヘンダーソンがかなりの勢いでアプローチしてきたので慌てて後ろに下げます。

が、ヘンダーソンはそのままの勢いで右CBまでプレッシャーをかけボールを奪ってしまいます。

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奪ったボールはもちろんゴールへ直結し走り込んだフィルミーノが難なく押し込みましたがポイントはもしデミルバイにボールが入った時にヘンダーソンが2インサイドハーフより後ろにいたらどうなっていたか?という事です。

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もしこのアプローチがなく後ろに構えたままデミルバイに前を向かれたとしたら全く別の展開になってしまっているのは明らかです。


興味深いのはまず3ラインが非常にコンパクトだという事が前提にあり、その上でアンカーのヘンダーソンは自分の後ろにいるホッフェンハイムの3人のアタッカーの事を気にしていないという事です。

縦のコンパクトだけでなく横もコンパクト、中盤3人の距離が近くしっかり中央を閉め縦パスはいれさせないよというポジションを取れているので自信を持ってスプリントでアプローチをして奪いきっています。


非常に象徴的な場面だったので合わせて紹介をしましたがリヴァプールの試合を見ればそういった場面が頻繁に出てくるのが分かると思いますしナポリについても同様です。


そしてそれは個人が判断して実践しているという事だけでなくチームのプレイスタイルとコンセプトが大きく関わっているのは間違いありません。


本来であれば「ゲットスポーツ」のような番組にて映像と言葉を駆使しながら一緒に考える形が採れれば最高ですがなかなかそうもいかないのが現実ですので長々となりましたが記してみました。

代表戦はより多くの人が見てサッカーに関心を示してくれる良い機会ですからこういったトップレベルのサッカーに存在する「ディテール」について紹介する良いチャンスだと思いますしサッカーの魅力や楽しみ方を、より深い見方を提供する良い機会だと考えています。

文章でお伝えするのは非常に骨の折れる作業とはなりますがそれを生業としている者としてはやるべきことだと考えていますし文字数含め制約のない個人媒体を使って表現することで自分の思うところは全て表現出来るのではないかと思いブログで出しました。

前回の代表戦についての検証をした際にはある媒体に意図的に偏った主張の裏付けをする為に自分の文章が使われるという非常に悪質な出来事があったのでブログにて表現する事については色々と考えましたが、泣き寝入りせずに公にする事で自分の主張・意図は伝わるという事が分かったので今回もこうして表現をしました。

これだけの文章を書くのにどれくらいの時間が必要になるのかは同業者であれば容易に想像が付くはずです。

どうか無断で、または悪質な使い方はされないよう改めてお願いをさせていただき終わりにしようと思います。


長い文章、最後までお付き合いいただきありがとうございました。