有り難き忙しさ
物事には流れというものがあるんでしょうが有難い事にここ最近はたくさんのお仕事をいただけるようになりました。
選手時代に苦楽を共にした先輩から、または対戦経験しかない先輩から。
不思議だなぁと思うしかないところからお話をいただき、度々一緒に仕事をさせてもらえる事になったりしています。
例えば名波 浩さん。
現役時代エスパルスで長くプレイした自分にとっては憎っくきライバルチーム、ジュビロ磐田の司令塔、そして日本代表の10番だった名波さん。
対戦をしてズコーンとぶつかっていった事はあってもきちんとお話した事はありませんでした。
接点など基本どこにもなく、引退をしてからエキシビションマッチで一緒にプレイした時も挨拶をして少しお話をする程度でした。
1月のある日、知らない番号から着信があって。
「はい」と出たら「名波だけど」と。
少々集中力に欠けだらしなく電話に出てしまった僕の背筋はその瞬間、折れちまうんじゃないかというくらいに急激に伸びたのは言うまでもありません。
お話の内容は「2月に山口県にサッカークリニックに行くんだけど、指導に興味があると聞いたんだけど本当か?」と。
わざわざ番号を人づてに調べて直接電話をくれました。
僕にとってはリスペクトという感情以外持ち合わせていない人からの突然の連絡だったわけですが、簡単に言えばこれはお近づきになるチャンスだぞと。
何でこの荒れくれ者と煙たがられてきた男にそんなチャンスをくれたのかは今だに分からないのですが、こんなチャンスは2度とないぞと「是非やらせて下さい」と返事をしました。
異常にピリピリした、現役時代にもめったに感じる事のなかったほどの緊張感を抱えて山口に行き、喉がガラガラになるくらい声を出して子供達にサッカークリニックをやったわけなんですが。
それから度々一緒にお仕事をさせてもらえるようになっています。
J3の公式戦に合わせてサッカークリニックと前座試合を行うというイベントも名波さんはされているのですが、そこにも幸運な事に今のところ毎回呼んでもらいクリニックをし前座試合を一緒にプレイさせてもらっています。
引退して随分経ったとは言え、会う度に上半身が少しずつ大きくなっていくとは言え、名波さんの後ろでプレイ出来る事は楽しくて仕方なく、またこんなに緊張感あふれる試合もないというくらい緊張して試合に向かいます。
何故呼んでもらえたんだろうと自問自答しながらピッチに立ち前後左右に立つ素晴らしいキャリアを築いた先輩方の為に何の躊躇いもなく走り回るわけです。
なかなか根詰めてトレーニングをする時間を作る事が難しかったりしますが楽しくて楽しくて仕方のない時間がいつまでも続くように、また次呼んでもらえるように毎回走り回って相手からボールを奪って主役の皆さんに渡すのです。
要は認めてもらいたいという事です。
サッカークリニックを任せる事が出来る奴として認めてもらいたい、前座試合で一緒にプレイするに値する奴として認めてもらいたい、その気持ち一つです。
自分が尊敬する、心底認めている人に対するモチベーションの高さ、これは皆さんも同じだと思いますが僕も非常に高いです。
僕は基本的に今まで誰に媚びる事なく生きてきたし今でもそこについては変わらないので意味もなく人にペコペコするのは苦手なんですが、一つだけ心がけている事はどんな仕事でもどんな人に対しても自分として悔いの残らないように誠心誠意尽くす事だけです。
その人自身とその人から任された仕事に対してなんとか認めてもらえるように、次回もまた任せてもらえるようにやれることは全部やる事。
仕事を任せてもらえる人間になること。
与えられた仕事の内容にプラスして自分だから出来る何かを持つこと。
失敗を恐れず正しいと思うこと、自分の直感を信じること。
今までと同じように取り組み、また今まで失敗してきた事をしっかり糧にしながら物事に向かっています。
先日はなんと「やべっちFC」にまで出演させてもらう緊急事態が発生しました。
それもまた名波さんが推薦してくれたとの事でした。
名波・中山の隣に戸田・・・。
いいのかここまで出しゃばって?と自問自答を2秒ほど行ないすぐ出演を決めました。
自分の持つストロングは自分では良く理解していて、名波さんも同じところを良しと見て声をかけてくれているのが分かったので後はそのままの自分を出すだけでした。
自分の事をきちんと見てくれている人と一緒に仕事をする事ほど有難く楽しい事はありませんから。
番組が始まるや否や中山さんのスイッチの入り具合に改めて感嘆しながらも楽しく真面目に討論させてもらってきました。
しかしながら時にいただく仕事を冷静に眺め「分不相応だな」と感じる事もあります。
ただ分不相応だなんて言ったら、生まれて今日までずっと分不相応に上を見てリスクを取りチャレンジして生きてきたわけですから。
そこで怯んでしまったらもうそこで終わり。
目標は常に高く設定し分不相応だなと感じるくらいの厳しい環境に身を置いた方が人間常に自分を戒めつつ努力を重ねていけるんじゃないかと思うのです。
僕は今日までそうやって生きてきたのでそう信じています。
少・中を共にしたサッカー仲間から「人間やれば出来るんだという事を君から学びました」というとんでもない年賀状をプロになった時にもらった経験のある僕にとっては分不相応なんて当たり前な事。
これからもチャレンジあるのみです。
常により良い自分に、新しい自分になれるチャンスがそこら辺に転がっていると。
このビジュアルでNHKに出るなんて事も今までなら考えられなかったんじゃないかと。
あえてそこに踏み込んで僕にオファーをしてくれている方々に最大限感謝しながら仕事の内容で応えていきたいと思っています。
まだまだ始まったばかりのセカンドキャリアですが小さくまとまる事なく、プロの指導者としててっぺん目指して勝負するという大きな目標に向かって一つ一つ大切に一歩一歩確実に進んでいこうと思います。