命を懸ける
昨日は大阪城ホールにボクシングダブル世界戦を観に行きました。
マイク・タイソンが来日した時に衝撃を受けたのが確か小学校高学年の時、あれから25年以上ボクシングに魅了されてきました。
辰吉丈一郎に憧れ、鬼塚勝也、川島敦志、薬師寺保栄、徳山昌守、畑山隆則、新井田豊、西岡利晃、内山高志、八重樫東、山中慎平。
随分たくさんのボクサーに魅了され、またモチベートされてきました。
その中でも長谷川穂積。
本当に強かった。
本当に強かったし美しかった。
ボクシングを実際にしたことがない素人であり、観る目だけ肥えてしまったという歪な人間ではありますがその動きとパンチのスピードとタイミング、柔らかな身のこなし、全てにおいて完成されたスーパーチャンプ。
フェルナンド・モンティエルと闘った統一戦は今まで日本では見たことがないくらいのレベルと緊張感でした。
おそらくあの試合の後くらいから少しずつスタイルが変わっていったように感じました。
階級を上げたことにより、より耐久性のある相手と闘うために足を止めてパンチにより力を込めて打ち合うスタイルを選んでいったのかもしれないしそれはいちファンとしては想像の域を越えません。
いちファンとしては足を使って打たれずに打つ、そこにスピードとタイミングが合わさればどんな相手でも止める事が出来るし倒す事が出来る、そんな長谷川穂積を最後まで観たかったというのは本音ではあります。
長谷川こそがラスベガスのリングに上がるべき男だと勝手に思ってきた僕にとって、モンティエル以降の試合を観るのは正直怖くて仕方がなかったです。
ただし、あれだけ長い時間を命を懸けたものに捧げ続けた人が選んだ闘いはきちんと観ておかなくてはと思ってきました。
昨晩も出だしはとても良く見えましたが、一つ目のダウンのシーンもやはり足を止めて打ち合いました。
あのダウンのダメージは相当に大きかったと思います。
中盤持ち直して長谷川のボディが決まり相手も追いきれなくなってきて、打たせずに打つボクシングの時間が作れ始めてきたように見えましたがおそらくダメージによる疲労もあったと思います、動き続ける事が難しくなった部分もあったでしょうし最終的にはまた相手に捕まり打ち合いになってしまい・・・でした。
しかしピンチに陥っても不思議なくらい、何かに取り憑かれたように一歩も下がることなくひたすらパンチを出し続ける様を観て、文字通り命を懸けて闘う男を見ました。
4回戦の新人のように、ひたすら下がることなくパンチを出し続けました。
そして倒れました。
それでも闘い終わった後の表情は清々しいやり切った顔に僕には見えました。
追い求めるファイトスタイルは変わる事もあるだろうしKOの美学みたいなものもきっとあるのだろうと。
観ていて怖くて辛くて仕方がなかったですが、終わった後の長谷川選手の顔を見て納得した自分がいました。
集大成として臨んだこの一戦。
長谷川穂積の全てを出し尽くした闘いだったのだと勝手に受け取りました。
本当にお疲れ様でした。
たくさんたくさん、感動をもらいました。
勝手にライバル視して頑張らせてもらいました。
今回の試合が最後になるのではと感じていますが、まずは酷使しつづけた身体を労ってあげて欲しいと思います。
試合が終わった後の会場全体から湧き出た拍手がまさに全てを現していたと思います。
今回もまた観に行って本当に良かった、感じる事がたくさんありました。
長谷川選手だけでなくあの場で命を削った全てのボクサーからたくさん感じました。
ボクシングは残酷で儚い、がしかしどうしようもなく美しい。
その全てをまた目の当たりにしました。
長谷川穂積選手、ありがとうございました。