Shingo Suzuki
数日前、彼から電話がありました。
鈴木 慎吾。
この度現役を退く決意をしたと、わざわざ連絡をしてくれました。
昨年僕たちはシンガポールにて共にプレイをしました。
慎吾がシンガポールに入ったのは開幕した後、僕が一時怪我で離脱をした時期で。
そのリハビリ諸々があったためなかなか会えるタイミングがなく、初めて顔を合わせたのがたしか5月に行われたアルビさんとの試合の後でした。
僕はまだ試合に出れるまでは状態が戻れていなく外からベンチから観ていたのですが、35mくらいからのFKをズドンと一発。
試合の後に挨拶をしたのが初対面でした。
我々は同い年なんですが、不思議な事にその時まで顔を合わせた事がありませんでした。
小柄な身体ながらパワフルな素晴らしい左足を持ち、長い距離を走る事を厭わず。
足元でも、また動きながらでも仕事が出来る選手だったと思います。
昨シーズンも、若い若い経験のないチームの中で様々なポジションを任されながらプロの仕事をしていました。
能力と経験値から言ってチームとして足りていないポジションを任せるより彼の持つ能力を一番チームに反映出来る場所でプレイさせてあげた方がいいんじゃないか?と他人は勝手に思っていましたが本人はそういう事はさて置きチームの為にと真摯に取り組んでいました。
自分の考えをきちんと持ちながらもチームの為に求められる仕事を黙々とやれるプロフェッショナルな選手だったと思います。
確固たる自分がなくまたサッカー観もなく、必死に食らいついて食らいついていく若い時分とは違い、経験を積みサッカーの色々な事が分かってくると逆に何も考えずにただガムシャラにプレイするという事は難しくなる。
自分が持つ考えが正しいか間違いかはさておき、目の前に提示されたものに対して歳を重ね経験を積むと一度自分というフィルターを通してチェックしてみたくなるのです。
チェックをした結果、より良い方法論が見えた場合が難しい時があるのですが、自分の中で上手に解決をし与えられた仕事に対してしっかりと向かう事が出来たのが慎吾だったと短い付き合いですが感じました。
僕が思うに昨年所属していたチームにおいて決して右サイドバックをやるべき選手ではありませんでしたが、彼は素晴らしく献身的に走って闘っていました。
僕は彼のそういうところが素晴らしいなぁと話をしてもプレイを見ても感じました。
短いんですけどね、付き合いは。
時間ではないと自分で勝手に思っているだけですが。
長々と深夜遅くまでサッカーの事や色々な事について話もしましたが、良く考えて生きてるなと感じました。
彼が持つオフザボールの動きの質についてシンガポールではそのような概念は全くなく評価の対象にはなっていないようでしたが、確実に他とは違うクオリティを見せていました。
昨シーズンを終え、どこのクラブも手を上げなかったみたいですがそれこそが残念ながら彼の地のサッカーを表しています。
もちろん個人的な考えではありますが。
今後は京都にて新しい人生をスタートするようです。
関西に行く際には是非またたくさん話をしたいと思っています。
長い間、お疲れさま。