こんにちは。塾長の川上です。


昨年と比べて受験生が圧倒的に増えてきました。昨年は3人だったのに

対して、今年はなんと8人。ここまで増えてくれてありがたい反面、責任の重さも

強く感じています。


そこで考えることは「学習塾にとって責任を果たすとはどういうことか」という点です。

誰に対する責任かといえば、生徒であり生徒の親であるわけです。彼らは我々にとって

は顧客であるわけですから、顧客に対する責任を考えることと同義です。

一般の企業の場合、例えば車メーカーであれば、販売ディーラーを通じて顧客が満足

する車を提供することが責任でしょう。機械部品のメーカーであれば、完成品のメーカー

が顧客で、瑕疵のない部品の提供が責任となるでしょう。セブンイレブンなどの小売業

であれば、消費者のニーズに合った商品を常に店頭においておくことが責任となります。

共通するポイントは2つです。


1 商品のクオリティが高いこと 2 商品が顧客の求めるものに合致していること


改めて「学習塾にとって責任を果たすとはどういうことか」を考えてみましょう。

学習塾にとっての商品とは「生徒に勉強を教えるサービス」であります。

これを上記の1と2に当てはめると、「勉強を教えるサービスのクオリティが高い」

「勉強を教えるサービスが生徒やその親の求めるものに合致している」

となります。まずクオリティについて考えてみます。学習塾においては講師の質が

最大のポイントです。講師の質とは、第一に教科の勉強がよくできること。これは当然です。

しかし、これだけでは不十分です。講師は生徒としっかりコミュニケーションをとらなければ

つとまりません。また、生徒の長所と弱点を見極めて的確な指導方針を作って実行いく能力

も重要です。

次に生徒や親が求めるものについて考えてみます。学習塾の場合これは明確で、

成績を伸ばすこと、志望校に合格することです。生徒のしつけを併せて望まれる方もたまに

いらっしゃいます。これら生徒とその親の要望をかなえてあげるのが責任です。


少し戻りますが、セブンイレブンの責任についてもう一度考えてみます。

セブンイレブンが例えばあるお客さんにおにぎりを売ったとします。そして、3日経ってから

「このおにぎりはまずかった責任をとれ」といってきたらどうでしょう。味覚や趣向は人それ

ぞれですから、自分の口に合わないものを買ったお客様の責任ですよね。

次に、「このおにぎりに異物が混入していた責任をとれ」といってきたらどうでしょう。

こうなると、店長が菓子折りを持って自宅まで謝罪に行く姿が目に浮かびますね。

何に対して責任をとるかというのは組織にとっては常に考えておくべき重大なことです。


では、学習塾は何に対して責任をとるのでしょう。「成績を上げること?」「合格を保証すること?」

どう思いますか?ここ最近「合格保証制度」なるものを掲げる学習塾があるようですが

私としてはこれは非常に無責任なのではないかと思っています。我々は成績をあげること、

合格をさせることに常に全力で立ち向かっています。しかし、結果に責任を持つことはできま

せん。もし志望校に合格できなかったら塾長が自宅に出向いて謝罪をするなんてことは

有り得ません。では、学習塾は何に対して責任をとるべきなのでしょうか。それは「学習プロセス」

です。つまり、成績アップ、志望校合格に向けて、最適な学習方針を立ててこれを実行

するということです。そして、状況の変化に応じてこれを修正していくという柔軟さを持つことです。

特に個別指導塾にはこれが求められます。医師と比較すれば分かりやすいと思います。

人間はいつか死ぬものです。ほとんどの人が病院で亡くなります。もし、医師の責任が

「患者を決して死なせないこと」に求められたら誰も怖くて医者になれないでしょう。医療訴訟

が多くなっている日本の現状も考えものです。医者も「診療のプロセス」に責任を持つ

というのが正しい姿です。プロセスに責任を持つための条件としては「報告をする」ということ

があります。我々の塾でいえば、生徒への毎月の「報告書」がその役目を担っています。

そして、もう一つの条件は「信頼関係が失われたらいつでも契約解除できる」ということです。

結果に責任が持てない代わりにプロセスに不満があればいつでも契約解除ができるのです。