こんにちは。塾長の川上です。


最近なかなか忙しく、ブログの更新が遅れてしまい申し訳ございません


本年最後のブログになります。


さて、前回の続きです。数学・算数が社会において、人間形成において

どのように役に立つのかを考えます。独断と偏見ではありますが、箇条書き

にしてみます。


① 事務処理能力


  計算力を身につけること、そしてそれを素早く解くこと。計算は単純作業

  で面白みに欠けるものですが、大量の計算をこなすことによって、ルーティーン

  の仕事を早く正確にこなす能力が身につきます。


② 論理的思考力


  

  これは予想がつくと思います。定理、公理、公式などの数学を解くうえで

  の「決まり事」を利用して問題を解決するというのが数学の問題の大半を

  占めます。これを演繹といいます。つまり、一般論から個別具体的な問題

  解決をはかる方法です。また、数学には証明問題というものがあります。

  これは、逆に具体的な事象をもとに一般論を導くやり方で解答します。

  これを帰納といいます。つまり演繹とは逆に個別具体的問題から一般論

  を求めるやり方です。個別問題から一般論へ、逆に一般論から個別問題へ

  この往復が自由自在にできること。この能力は社会に出ても大変役に立つ

  ものです。非常に応用の幅が広いのです。


③ 忍耐力


  数学には解答の糸口がすぐには見つからず、試行錯誤して悩ませる問題

  が多いです。これをあきらめずに時間をかけて考える、最後まで解けなくても

  粘って分かるところまで書いてみる。そういった経験を積み重ねることで忍耐力

  が身につきます


④ パターン認識力


  数学の問題はある程度パターン化しています。難しい問題であっても、問題を

  多くこなしている人ならば、「前にやったことがあるかも」と気がつくことも多い

  はずです。これはパターン認識力が身についている証拠でもあるのです。

  社会に出てからも「これと似たような仕事を前にやったな」と気づければ

  初めての仕事に向き合うときでも一から教えてもらわずにできるようになる

  場合もあるでしょう。


⑤ 問題解決力


  数学の問題にある文章や図やグラフというのは問題を解くうえでの重要な

  ヒントになります。それらをフル活用しなければなかなか問題は解けません。

  与えられた条件、情報をヒントに問題解決をはかる姿勢というのは社会に出て

  からも役に立ちます。洗練された問題になると、解答には不必要な情報を

  あえて交ぜることもあります。情報を取捨選択する力も同時に身につくわけです。


⑥ 直感力・感性


  羽生善治という有名な将棋の棋士がいまして、その方の「決断力」という著書に

  書いてあるのですが、その一節を引用します

  「大山先生などは”ここではこんなあたりであろう”と勘でパッと見当をつけて指す

  それがだいたい良い手なのだ。悪い手ということはあり得ない。なぜかというと

  パッパッと指す手には邪念が入らないから、基本的には悪くない。全体を判断する

  目がしっかりしているからできることだ。全体を判断する目とは、大局観である。

  本質を見抜く力といってもいい。その思考の基盤になるのが、勘、つまり直感力だ」

 とあり、そのあとに、数学について言及しています

  「数学は緻密なロジックによって構成された論理的な学問であると思われている。

  しかし、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は

  数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを”数覚”と名付けている」

  と述べ、その例として、図形の問題で補助線がひらめかないと解けないことがある

  ことを挙げています。


当然ですが、数学ができるだけで、全ての能力をカバーできるわけではありません。

他の学科もやらなければならないし、勉強以外の人生経験も大切です。

しかし、数学が社会で役に立たないという考えもまた極論です。数学は実務で目に見えて

役に立たないだけで、人間の基本的な能力や人格形成に深くかかわっているものです。


さて、みなさま、本年も私の拙いブログをお読みいただきありがとうございました

良いお年をお迎えください