南相馬のあるレストランで、昼飯を食っていた。
客は俺以外に数組。
みんな俺より年上。それはその店ではいつも通りな風景だ。
俺の母親世代くらいと思われるおばさん二人組が、俺の隣の席に座っていた。
それもだいたいいつも通りの風景。
そのおばちゃん二人組、注文が決まったのか、店員を呼んだ。そして注文を始める。
「ナポリタンお願い。」
「私も。」
そこで一つ注文を加えた。
「茹で加減やわらかめでお願い出来っか？」
おぉ！柔らかめ？
あんま聞かない注文だな。
そういえば…南相馬でパスタを頼むと、大抵べろべろに柔らかく茹でられたものが出てくる。
「パスタ」
というより
「スパゲティ」
と呼んだ方がピッタリくる感じ。
「アルデンテって何」
とでも言わんばかりだ。
どことなく懐かしい感じ。
何でだろうと思ってたんだが、謎が解けた。
俺より上の世代は、アルデンテの世代じゃないのだ。
あくまで「スパゲティ」なのだ。
今風のパスタを食いたい時は満足出来ないのだが、昔ながらの「スパゲティ」を食いたい気分の時は、南相馬は良い街かも知れない(笑)。