20世紀絵画の大潮流、キュビズムとフォーヴィズムについて、思うところ是あり。両画法のモトとなった考え方は、古代から連綿と描かれ続けた世界地図にあるのではなかろうか、と。

 Wikipediaによると、キュビズムとは、『具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収める』画法、とのこと。こう書くと、なにやら一大発明のように聞こえるけれど、ちょっとお待ちくだされ。その考え方と手法、太古から20世紀に至るまで、世界地図の業界では科学的かつ自然にやってのけてましたよねぇ~。

 近世以降の主だった図法だけでも…

メルカトル図法


モルワイデ図法


グード図法


正距方位図法


これだけあります。

※上掲の地図画像は、沼津高専・佐藤崇徳氏のウェブコンテンツ
に依る

 いずれの図法も、球体を平面に落とし込むのに腐心しており、キュビズムのコンセプトと通底、否、合致します。

 一方、フォーヴィズムは、『感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする』画法、とのこと。こっれまた、パラダイムシフトな画法のように思わせるものの、国別地図の業界では、とうの昔っからやってましたよネ、的な。


昭文社:「スクリーンマップ 世界全図 国旗入り」より

 一般的な地図が地形や植生に基づいて描画されるのに対し、国別地図の色どりたるや、正にフォーヴィズム!

 おーい、ピカソ、マティス、そして美術評論家よ。難解な言説で衒学しようとしたって、こっちは手持ちの知識で貫くぞぉ!!!(笑

 キュビズムとフォーヴィズムに対するこの見立て、当然、業界人が既に指摘しているものと思いきや、ネットでは全く引っ掛からないので、ここに記す次第です。アート方面はじめ、関係各位からのツッコミ大歓迎でございます!