鉄筋コンクリートの建造物を巡る旅・鉄コン其古卍 Part 24、Esso多賀SS(サービスステーション)です。常磐線・常陸多賀駅近くのガソリンスタンド。


Esso多賀SS


国道6号と山側道路(※)との交差点に面しています。弧を描く建屋ファザードと鋼材形状を活かした”スタンド”にモダニズムを感じます。

※国道6号の慢性的渋滞を緩和するため整備された迂回路。モヤっとした呼び方ですけど、これが歴とした本名。


Esso多賀SS


ご店主に現店舗の建築年を尋ねたら「50年くらいは経ってると思う。俺がここに来たのが昭和33年(1958)だがら、35年(1960)には出来てたと思うんだ」。


Esso多賀SS


うううぅん??? 1960年なら、ほぼ60年選手ってことに…。それに、いくらなんでも60'sの初っ端ってのはどうだい? 憚りながら、ご店主の記憶をリフレッシュするフレーズを投げかけさせて頂きました。

わたくし「東京オリンピックより前でしたか?」
ご店主「うん、前、前」
わお、マジか!!!


Esso多賀SS


このガソリンスタンドが面する国道は「国道6号一次改築」の線形改良で整備された道。当該区間「大甕・神峰改築」は1958年に改築着手、1963年に供用開始、となっています。


Esso多賀SS

「大甕・神峰改築」は、対象区間が13.2km。道路整備の常套手段からして、全区間が一挙に工事完了→供用開始となるのは考えにくい。できたところから供用を開始して、「1963年は全面開通した年」とみるのが妥当かと。

つまり、1963年以前にスタンドが面する6号線が通っていた可能性は十分想像できるぞ、と。

となれば、ご店主の記憶のスタンドオープンと国道6号の線形改良の時期が符合します。当時のいわば「新線開通」を見越して建てられたのでしょう。

また、このスタンドは、

◎6号以西の住宅地(山側)
◎6号以東の商工業地(海側)

の結節点に相当する位置にあります。国道の線形改良に加え、宅地造成とモータリゼーションによるガソリン需要増加を見込んでいたであろうことは、想像に難くありません。


Esso多賀SS


しかし、となると、建築界のスーパーメジャー案件である「旧出光興産広島西給油所」(坂倉準三/1962年)とほぼ同時期ってことに。
だとしたら、「おいおい、マジか!?」なわけで…。


Esso多賀SS


ご好意で中も撮影させて頂けました。


Esso多賀SS


昭和アンコール劇場、絶賛放映中。


Esso多賀SS


タバコの臭いさえ味わいになっちゃってますもの。


Esso多賀SS


DOCOMOMOぉ~っ!