酔った勢いで…
そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたので、クマと「今度かかってきたら聞いてみようか」と話す時もあった。
でもイザ、その時になると、なかなか聞けるもんじゃない。
大体、すぐに切られちゃうし…。
ところが、数週間前の日曜日、最大のチャンスが!
またもかかってきました!
「タキ」さん宛ての電話が!!
その日は日曜だったけど、私は仕事。
17:00には仕事を終えた私に、クマが「ご褒美」にとビールを奢ってくれた。
クマはなんだか機嫌がいい。
私も、ご機嫌。
帰って、即晩酌。
疲れのせいか、18:30には、すでにほろ酔い状態だった。
晩酌して~、TV観て~。仕事だったけど、イイ日曜日だな~。
な~んて、思っていると、「プルルルルルル~」と電話が鳴った。
「おっ、もしや、タキさんかも~」
と、私は酔った勢いのハイテンションで、電話の前に…。
クマはもちろん、出る素振りもない。
「あ、私『△△』の○○と申しますが、「タキ」さんのお宅ではありませんか?」
「いえ、違いますよ。クマ家です」(やたっ!「タキさん」宛てだ!)
「そうですか。すみません。間違えました」
キャー、この人名乗ったよ!
言葉使いも穏やかだし、答えてくれるかな?
聞いちゃう? 聞いちゃう、私?!
よしっ! 聞いちゃえっっ!!
「あのー、ちょっとすみません」
「はい」
「聞いてもいいですか?」
「…はい?」
「あのー、「タキ」さんて…… 誰ですか?」(あ、唐突過ぎ?!)
「…………」(不審がってるよ~
そりゃ、そうだよね)
「いえ、この番号はウチが使って10年になるんですけど、「タキ」さん宛ての間違い電話が多くてですね…」
「ああ、はい」(ちょっと、納得してくれた?)
「で、この「タキ」さんて方は誰なんだろうと、ずっと疑問に思っててですね~」
「そうでしたか。すみません」
「あ、いえ、責めてるワケじゃなくて、この方と連絡つかなくて、皆さん困ってらっしゃらないのかなー、と思ってまして…。で、失礼を承知でお聞きしたワケなんですよ」
「ああ、そうだったんですね。私は「×××」にお勤めの「タキ△△オ」さんのお宅ということで、電話を差し上げたんですけど…。違っているんですね」
「はい、そうです。あの、因みに番号は」
「○○○-×××-□□□□です」
「あ、その番号はウチですね」
「こちらにあるのが古いかと思いますので、確認してみます」
「はい、そうして頂けますか」
「大変ご迷惑をおかけしました」
「いいえ、こちらこそありがとうございました」
「「失礼します」」
やったー! わかっちゃった!! わかっちゃったよ~。(小躍り)
酔ってたのにスゴイ、私。
これって、グッジョブ!ってことじゃない?
「×××」にお勤めの「タキ△△オ」さんだって!
そうかー、そうなんだー。なんか、スッキリしたぞー。
はっ、早速クマに報告だ!
「クーマー、わかったよ!「タキ」さん!!」
「なんだって~」
「じゃじゃーん!『×××』にお勤めの『タキ△△オ』さんでしたー」
「へー、よく聞けたじゃん。で、かけてきた人はドコのダレ?」
「あ、忘れた」
「…………」
「まあまあ、どこの誰でもイイじゃん。今日の人はね~。ちゃんと名乗ってくれたからさ~。聞いてみましたー」
「ふーん、個人情報もらしちゃってんじゃん。いいのかね?」
「う~ん、私も気になったけど、でも教えてもらってスッキリしたでしょ? でもさー、聞いちゃったんだよー、私。スゴくない? スゴくない??」
「わかったから。TV聞こえないから静かにして」
「…………」
私の浮かれた報告とは反対に、クマは全っ然、興味がなさそうだった。
10年来のナゾの一部がわかったってのに……。
つまんないヤツー。
それにしても、自分の酔った時のテンションの高さに、今更ながらビックリした。
ホントにノリが全てなんだなー。
気をつけよう、私…。