久しぶりに昔使っていた
携帯を開いてみた

ホコリをかぶったまま
いったい何年ここに
眠っていたんだろう

そう思いながら
充電器の先を携帯に差し込み
電源をON

するとSEKAOWAが
世界の終わりだった時の
画像がトップ画面として現れた

時刻や日にちは全て「0」

私は今や20歳になるというのに
この携帯はこの「0」のように
時を止めてしまっていた

今まで何もなかったかのように
さびしく「0」が並ぶ

だが私を「待っていたよ」と
喜ぶかのように変色した
半透明のボタンは軽やかに
反応してくれた


まずはフォトフォルダをPUSH

するとそこには
まだ高校生の自分と
まだ高校生の友達の笑顔が
画像として残っていた


なんだか不思議だった

傷だらけで色あせていて
変色しているにもかかわらず
中身は鮮明にその時を残している


人間に例えたらこの状況は
おじいちゃんやおばぁちゃんを
指し示すのかもしれない



そのまま画像に浸り
懐かしいなぁと独り言


中学の時の画像では
少し涙が流れた

もうこの360人全員が揃う事は
二度と無いのだと思ったら
この野郎、と言いたくなった

「自分から死ぬだなんて
お前ほんとバカだよ」



何年か前のディズニーランド
何年か前のディズニーシー


この時はまだグーフィーも
トイマニもなかった


この時はまだここに
住んでいたんだな

この桜の木もうないんだよな


なんて未来を思い出す


私たちはそこにいないのに
いるみたいに笑ってる


不思議だった

時は止まるんだなっと
少し胸の中がチクチクした







メールボックスを開く

鍵マークがついたメールが
受信ボックスの下らへんに
たまっている

これ保存する意味
なんて訳わからん
そんなメールばかりが
ボックスを埋めている


送信ボックスも同じ

自分の恥ずかしい言葉が
静かに残っている

その時のリアルな恥ずかしさが
まんま言葉になって
当時と同じくらい赤面しそう







「0」ボタンを長押しすると
私しか見れないボックスが現れる


なんの迷いもなく当時
キラキラした思いで決めた
4ケタの番号を入力


そこには思い出がまだ
キラキラした姿で残っていた


たくさんのハートマークの中に
たくさんの愛の言葉


言葉がリアルで
温かさを思い出す



懐かしい、
そう感じる事ができた


あんなこともあったなって
思えるようになった


自分から手を離して
離れていく相手の指先を
愛おしく見送り
好きだけではダメだと
心の中で自分に暗示をかけた


そうして後悔だけは
しないと思い込んだ


少しでもこの離れが
正しいと思いたかった






















ガラケーのフタを閉じ
真っ暗になった画面を見て
私の物語もいつか
終わるのだと遠くに感じながら
元にあった場所に返す



ホコリはかぶっていない

後悔もない








電源はOFFにしなかった



充電が貯まった分
私の過去も「0」の表示も
少しだけ進む


ただそれだけを願って



































今を生きよう
















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