私がいるこの世界には

優しさっていう嘘しかなかった



親切なフリをして

ただ面倒くさいことが嫌いで

自分を守っているだけで

別に優しさなんかじゃなかった




そこらへんにいる

普通の人と同じ人



「この人うざい」

「この人嫌い」


声に口に出さないだけで

この言葉が体の中を行き交ってる













私が我慢すれば

めんどくさい事には巻き込まれない


何一つ
順調じゃないことなんてなかった


優しい
良い人

これだけで良かった













なのに







恋をした途端にそれはすべて

折れた牙のように

自分に深々と刺さった







誰かを押しのけてまで

幸せになんてなれない



みんなのHEROを

独占なんてしちゃいけない



このまま友達として

仲良しでいるのが

1番だと思って

距離を置こうと思った





みんなのHEROでいてほしい









だけど









そんな事上手くいかない

それもわかってた







優しさって名前の嘘は

自分が気付かない内に

知らない間に

私の体の素直な行動として

自然と現れるようになって

牙をむいていた




自分の体を傷つけてまで

自分の想いを

噛み殺すようになっていた








何一つ

自覚症状がないまま

気付けば

そこらじゅう

傷だらけで




気付けば

愛しい人さえも

その血溜まりの中にいた






























どこからか音が聞こえた?

言葉が聴こえる?





街の中に溶け込んでいた
その音は私の中にスッと
吸い込まれるように入って
せきをきらした







外ではセミが鳴いてる

クーラーの温度は25度








頭が痛くなるまで

今までためてきた

「優しさ」を

涙と声にして吐き出した







頭がガンガンして

何も考えられなくなって

ただ ただ 呆然と横になる










そして不意にかかってきた

彼からの電話が一本








「あと4%しかない充電!」

「あ、じゃあ切る??」

「やだ!切れるまで電話しよ!」






電話の向こうから

彼と彼のおばぁちゃんとの

会話が聞こえてくる


「おばぁちゃん、体どう?」

「すごくいいよ!マッサージが効いたんだね。すっごくよくなった」

「よかったー(^^)」

「またお願いね」

「うん!まかせて!」



その会話だけで

私は世界中のみんなに

彼の良さを自慢したくなった










電話の向こうから

彼が外を歩いている

サンダルの音が聞こえてきて

私も静かに外に出た





夏の暑さはなく

涼しい風が流れていた




「私も外に出てみたよ」

「おぉ!いいね!
今度一緒に散歩しよーね!」

「え?どうやってよ 笑」

「お互い自分の家から歩いて
どこで出会えるかやろうよ!」

「7時間はかかるでしょ」

「あはは!いいんじゃない?
楽しそうじゃん!」








のほほんとした会話の後
少しの沈黙



「あ、やばい!1%だ!」


その声のあとすぐに
電話が切れた








そのまま何もないまま

今日は終わりかなって

そう思ってたら


「復活!笑」


ってLINEがくる。































嘘で固めた「優しさ」を
粉々に崩して溶かして
私のまんまの姿を
さらけださせながら

「俺の中では1番!」

そんな恥ずかしい言葉を
照れながらも伝えてくれる

私の「優しさ」の姿を知っている


そんな彼に私は



















恋をしているのだ。











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