レースのカーテンをかぶって
リボンのピンを人工の髪に留めると
「ねえ、先生 結婚しよう」
彼女は 花のように笑って
いつも薬指にはめている指輪を外し
彼にもう一度 はめてもらうようせがんだ
白地に小花柄のワンピースの彼女は
風に揺れる 小手毬のようだ
彼は医者で
彼女は医者にも治すことの難しいと言われる
血液の病だった
彼は 彼女の白い薬指に指輪をはめ
その手に そっとキスをした
翌日 10年務めた病院に辞表を出し
二人には少し広すぎた マンションを引き払った
その後
彼らがどこに行ったのか
誰も 知る由もない
私は今も
花のような彼女からの 幸せの知らせを待っている
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