おかあさん
あなたは
父親を亡くし
苦労をして育って
愛を貰えず
意地だけで
生きてきたんだよね
お父さんが
喧嘩して
ダメになった仕事
それを補うための
店の経営
仕入れ
家のローン
店の家賃
お金に追い回される
毎日
お父さんは
すぐに仕事を
辞めてきちゃう
お母さんにあたる
でも
お母さんは
元旦以外
毎日仕事をしてた
私はそれを見ていた
だから
お母さんが
私に意地悪を言っても
私の大切なものを
足で
踏みにじっても
罵倒されても
毎日
毎日
意地悪言われても
私は
あなたを
憎めないんだよ
心の底からは
憎めないんだよ
だだね
悲しいだけ
身体がばらばらと
音を立てて
崩れていくような
悲しみ
苦しみ
それがあなたの
苦しみなんでしょう
もって行く場所が無くて
それをわたしに
当てたんだよね
私を憎んで
言った訳じゃあないよね
私たち姉妹を
持ち家から
お嫁に出さないと
大切にしてもらえないと
思い込んでいた
店を持って
家を持たないなんて
あなたのプライドが
許さなかった
働いて
働いて
頬がこけて
白髪がでて
とうとう
とんでもない
病気になって
店をたたんだ
あなたは両目を
失明しかけた
お父さんは
そんなお母さんを
遠くに
連れて行った
山の近くに
きれいな山の
あるところへ
山の近くに
住んで登山がしたい
それだけで
遠くに
連れて行っちゃった

まだ甘えたことなかったのに
でも
山の近くには
お母さんの友達は
いなかった
予算オーバーで建てた家は
返済が大変だった
また
借金
お父さんは
借金をつくる
お母さんは
それを返す
お父さんは
新車を買う
それを友達に
あげる
ただで
また車を買う
借金が増える
お母さんは働く
力仕事で
指が
指の関節が腫れて
痛くて真っ赤
薬なんて効かない
お母さんの
手を
私は直視できない
ごつごつに
腫れて
指が曲がったまま
固まった
痛い
痛い

小さい手
治らないと
お医者さんは言った
お母さんは
お父さんと
喧嘩した事
辛かった事
何でも
私に話す
仕事で
よそ者扱いされたこと
友達ができたこと
友達を失ったこと
寂しい

あなたは言った
ここは
寂しいと
あなたは
店の経営をやめて
母親に戻った
張り詰めていたものが
なくなって
心に穴が開いてしまった
あなたは私に
甘えられたい
と思うようになった
甘えてもらわないと
寂しいんだね
でも
もう
私は
大人になってしまったんだよ
毎日は電話できないよ
たまに
話す電話口で
あなたは
私に子供返りをする
まるで
反抗期の子供と同じ
暴言を吐いては
私の心に
傷をつける
わたしの人間性を
全否定する
私はそれを
受け止めきれないよ
弱いんだ
あなたを跳ねつける
勇気も無く
傷ついて
寝込んで
そんな私が
あなたにとって
焦れったい
どうしてあなたは
そんなに弱いの
ごめんね
お母さん

一生かけても
あなたの理想どおりの
人間には
なれないんだよ
おかあさん
できればあなたと
喧嘩したくない
ぶつかりたくない
静かに
お茶でも飲んで
ひなたで
お話しませんか