妹が言った

昨日とこの乗ったバスを待つ間、お母さんがね

『とても悲しい』
って言ったの。

と、目に涙をいっぱいにためて

妹は言った。




母も妹も
私が東京に戻る事を寂しく感じていることは感じていた。



妹は喉につかえたものを吐き出すように話を続ける。


とこが子供の面倒が見られない事が辛いように、
お母さんも病気のとこの面倒がみられないことが辛いんだよ。

とこの面倒をみたいんだよ…

だからお母さんが上手く私たちと関われなかったり、不器用な言葉で私達を傷付けてしまうところを全部許してあげて…。

お母さんはあれでも精一杯だから

それだけ。


そう言って
妹はドアを閉めた。





確かに母が名実共に『お母さん』になったのは最近の事。

優しくなった母に戸惑い、母を恐れる気持ちが拭い切れず、甘える事ができなかった私。

母と私はぎくしゃくしながらこの一年を過ごした。



私には反抗期がなかった。

そのためか、恥ずかしい話、この年になって少し生意気な口のききかたを覚えたり、母に苛立ちやうっとおしさを感じたりしていた。

母の気持ちを汲みきれず、不器用で被害妄想癖のある母の暴言に苦しんでいた…。



子供に何もしてあげられない辛さは一番わかってあげられる立場なのに。



病んでゆく我が子達の気持ち

自分の病気

別れた夫との接し方

これからの住まい…




母や妹の気持ちを考える心の余裕は寸分も無かった。



今わかっていることは、私の心はパンク寸前だということ
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