「犯罪の裏側」NO14
香織は北海道に旅たち、周囲の動きもなくなった。
香織が留守になった事で、新たな進展もなく、
香織の家に隠した遺体は発見される事なく済んだ。
あの日以来、刑事のnowlaに会う事もなかったが、
唯は心に引っかかるものがあった。
それで、沙羅を呼んで、コロンで飲むことにした。
沙羅と待ち合わせした時刻より早めにコロンに到着した。
常連の糞オヤジがカウンターにいた。
(出たよ~糞オヤジ~遅い出番でしたね~)←黒子の声
「こんばんは」
唯は軽く挨拶を交わした。
「おー今晩は。良く来るなぁ~なんか密談か?」
「えー何それ!密談なんかある訳ないですよ」
「そうか。怪しいもんだ。(笑)」
・・・チッ・・勘が鋭いオヤジだ!と唯は思った・・・←黒子が思ったんだ。
いつものBOX席に座ると、ジントニックを注文した。
それと、この店でお勧めのカレー風味のタンドリーチキンを頼んだ。
パンと一緒に食べると、酒に合うつまみになった。
少しすると、沙羅がやって来た。
「毎日、暑いわよね~。家のあーちゃんもへタレてるわ」
(沙羅っちの家の猫ちゃん登場~~)←黒子の声
「猫は毛皮着てるから暑いわよね~。香織は今頃涼しいのかな?」
「そうね~こっちよりはずっと涼しいでしょ」
他愛無い話の後、唯は本題に入った。
「ねぇーこの前、此処であった刑事さん居たじゃない」
「あーnowlaさんね。その人がどうかした?」
「いえね・・失踪したとかって人の事をいまだに捜査してるらしのだけど、
momokoさんは知らなかったようなの」
「ふーん。それで?」
「私も香織もmomokoさんが警察にしつこく言ってるから、刑事が来てるって思ってたんだ」
「うんうん」
「でも、全然関係なかったみたいでね・・・」
「そうなんだ。じゃー何で調べてるのかな?」
「ねね・・あの刑事さんは前は公安って言ってたでしょ」
「そうだけど、引退したって言ってたよね」
「そうだけど、本当は引退なんかしてないんじゃないかな?」
「えーーどうして?」
「うーん・・何となくそんな感じがしてね。だって、失踪したくらいでしつこくない?
失踪者って結構いるでしょ」
「まぁーそうだけどね。」
「何か、他の事で、刑事が探してるんじゃないかなって思って・・・」
「そうね。それはあるかもね。何か犯罪者だったりして、それで逃げてたりしてね」
沙羅はそう言ったが、それは違っていた。
しかし、そう考えてもおかしくはないのかと思った。
この夜は、大した収穫も得られず、唯は帰宅した。
しかし、世間的に見たら、沙羅の意見は妥当だと思った。
翌日、唯は内装の依頼を口実にこしょうを呼ぶ事にした。
momokoがこしょうに何を聞いたのかも気になっていた。
「香織の家の改装ではお世話様でした」
「気に入って貰えたようで良かったです」
「もう、とっても素敵に作ってもらって、香織も喜んでましたよ」
「そうですかーそれは良かったですが、居間の床は問題ないですか?」
「床?何処の?」
「改装した箇所なんですが、最後の仕上げの時、
少し寸法がずれていたので、気になったんです。」
「あーそうなの。全然問題ないわよ。とっても綺麗よ」
「そうですか、だったら良かったです」
それから、新しい内装の打ち合わせに入った。
こしょうのセンスなら、難なくこなせる仕事だと唯は思った。
そして、一番聞きたかった事を尋ねてみた。
「こしょうさん、香織の家でお隣の猫が携帯を咥えていたって事、
momokoさんにも話したの?」
「あーあれですか。いつだったか、花やさんのmomokoさんに偶然会って、
色々聞かれまして・・」
「どんな事?」
「店員だった男の人が香織さんに家を最後に行方不明で、携帯のGPSが
香織さんの家だったんだけど、携帯を見ませんでしたかって聞かれました」
「そう。それで?」
「たまたま、私地下室で見たじゃないですかぁー、
だからその事を話しましたが・・何か不味かったですか?」
「あっ!いえ、それは問題ないのよ。ただ、携帯が見つかったらしくて、
それで変に香織が疑われているみたいでね」
「疑われるって、何でですか?」
「携帯が香織の家から見つかった・・厳密にはお隣の猫が咥えてたって事かしらね」
「でも、それって、落ちてたかなんかで猫ちゃんが咥えてたんじゃないですか?」
「そうよね。携帯から香織の指紋が出た分けでもないようだし、
香織は見たこともない携帯らしいしね」
「だったら、問題ないんじゃないですか」
「そうね。ありがと。変な事を聞いてごめんなさいね」
それから、暫くして、こしょうは唯の会社から帰って行った。
こしょうの話しで、何も問題がないと唯は確証した。
・・・大丈夫だわ。私達の事は決してバレない・・・そう思った。
続く・・・・