「犯罪の裏側」NO7 | おかんのブログ

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徒然なるがままに・・・
猫記事、歳時記、孫記事、拉麺グルメ、オフ会等々
私の公開日記でもあり備忘録。
50代から始めて十数年。
シニアになって惚けたら読み返そう。

神奈川から栃木へ、からの2018年は熱海移住。
温泉三昧継続中~と共に、
町中華歩きも継続中~

「犯罪の裏側」NO7


「随分早いんですね~」

その声に驚いた香織が立ち上がった。

「あっ!おはようございます」
「綺麗なお花ですね~」
「ええ。今日噴水が届くので、その前にやっておこうと思いまして・・」
「あらまぁーそうなの。それは素敵ね。来たら見に行かせてね」
「どうぞ~いらして下さいね。あっ!大吉ちゃんはいつも来てますよ」
「あはは・・・そうみたいね。この前も何か持って来たけど、お宅のかしら?」
「え?何でしょう?特になくなった物とかはないですけど・・・」
「そう、何だかゴソゴソ隠してたわ(笑) 噴水を見に行くときお持ちしますわ」
「はい。」

そう言うと、犬のリッチを連れて散歩に出掛けて行った。

「唯、大丈夫かしら?」
「分からないけど、確認した時は気配もなかったわよ」
「そう。あの奥さん・・・神出鬼没なのよね」
「大丈夫よ。もしあれを見たなら、今頃大騒ぎしてそうじゃない」
「そうね。良い方なんだけどね・・元気すぎてね」


唯は、隣人よりも、あの刑事とmomokoが気になっていた。
あの刑事がどう考えるか?このトリックに気がつくかだった。
確固たる礼状がない限り、この家の中の調査は出来ないだろう。
その為には、省吾の痕跡をひとつも残す事は出来なかった。


「香織、あの冷凍庫も始末しないと駄目ね」
「どうしたら良いの?リサイクル処分しかない?」
「それは危険よ。直ぐに発見される。海に沈めましょう」
「海に!?どうやって?運ぶの大変じゃない?」
「解体するしかないわね」
「そんな事出来るの?」
「作られた物で、バラバラにならない物はないわよ」
「それはそうだけど・・・・」


そこへ、省吾達がやって来た。
(省吾は仕事してくれる人の名前だったのだぁー名前間違えてもーた)←黒子の声

「おはよう。何をやってるんだ?早いな。」
「あープランターを設置したいのよ。それで作ってた」
「そうか。じゃー後で設置してやるよ」
「ありがとう。お願いします。砂を入れたら重くなっちゃって・・・」
「そりゃーそうだ」
「今日の段取りを説明しておく・・・」


省吾の説明で、噴水は午後一番に搬入する事に決まった。
もし、刑事が疑うとしたら噴水の下だろうと唯は思っていた。
その疑いを逆手に取る賭けに出て見たが、これが失敗したら、
全てが明るみに出る。
香織も自分も場合に依っては捕まる事になる。
殺害には加わっていないが、死体遺棄という立派な罪状がつく。
香織共々同罪だ。
今まで苦労して気築き上げて来たものは全て失う事になる。
・・・なんで、こんな事に加担しちゃったのかな?・・・


「内装工事も今日で全て終わるよ」
「そう、じゃーこしょうさんは今日で終わり?」
「明日からは外工事に加わって貰うよ。まだやることがあるからな」
「そう・・・全部が終わるのはいつ?」
「明日一日で一応終わるだろう」


午前の作業が終わる頃、再び刑事のnowlaがやって来た。


「たびたび済みませんね~」
「いえ・・・今日は何ですか?」
「いえね。行方不明になった城野さんの携帯のGPSの位置が
此処の場所だったって、momokoさんが仰るものでね~」
「携帯?GPS?」
「そうなんですよ。今は便利な機能が携帯についてるもんですね~」
「そう言われましても・・・」


香織はnowlaの言葉に動揺し始めた。


「刑事さん、それっていつの何時の事なんですか?」

このままでは、不味いと思った唯が口を挟んだ。

「いつって、momokoさんが言うには、行方不明になった当日だと・・」
「行方不明になった当日っていつなんですか?」
「それは、こちらに最後に花を運んで来た日って事になりますね」
「GPSの位置表示がこの家でずっと止まってるって事ですか?今も?」
「今は、電源が切れたたようですが、出勤して来なかった日の夜までは
此処だったそうです」
「では、昼間でも携帯を落として行かれたって風にも考えられますよね」
「まぁーそう云うことも考えられますが。落ちてましたか?」
「さぁー気がつきませんでしたが・・・香織は見た?」


唯は香織の方に目をやり、尋ねた。


「いえ。私は何も知りません。携帯も見ていません」
「そうですかー。可笑しいなぁ~」
「momokoさんの勘違いって事はないんですか?」
唯が言った。
「まぁー、それもなくはないですがね。お邪魔しました」


刑事のnowlaはアッサリ帰って行った。

しかし、この場の空気が重くなった。
そこへ、こしょうが来て、唯に声を掛けて来た。


「あの・・・今の刑事さんですよね?」
「そうだけど、それが何か?」
「あっ!いえ。花やさんのオーナーさんに色々と聞かれたもので」
「ん?どう言うこと?」
「この家の中で、何をしているのかとか・・何かないかとか・・」
「はぁ?何それ!!それで、何って答えてくれたのかしら?」
「特に何もないですがって・・だって本当に何もないじゃないですかぁー」
「そうね。ありがとう」
「ただですね・・・この前地下室で・・猫が携帯を咥えてました」
「え!携帯!!隣の猫が咥えてた?」
「そうだと思います。」
「そう。ありがとう」


こしょうは、それだけ言うと再び作業に戻った。
刑事が帰って、直ぐにこしょうが来たのかも不自然な気がした。
しかし、今はそんな事を深く考える余裕もなかった。
後小一時間で、噴水が来る。
何とか作業だけは終わらせてしまう必要があった。
プランターの移動もあった。



続く・・・・・