【土地家屋調査士に関する情報 No5】建物の増築登記について | 『境界』に関するよろず情報局 ~地図と鉄道と~

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~ターゲット~
①司法書士・税理士を始めとする士業の方
②不動産管理会社、学校法人といった土地持ちの方

今回は、建物の増築の登記について記します。

建物の売却を考えたときに、現在の建物の形と登記簿に記載されている情報が異なると、登記簿の情報や図面を直してからでないと売却できないと不動産業者に言われる場合があります。この場合は「建物床面積変更登記」を申請して登記記録を修正する必要があります。

しかし増築の登記を申請する際、一番気を使うのが「増築した建物の調査」です。そして「登記の対象は増築だけなのか」、「どのように増築したのか」この二つの点に注意して調査をおこないます。


「登記の対象は増築だけなのか」

増築した建物の利用状況や屋根の種類が既存の建物と同じなのか、増築した建物の所在が隣の土地に入っているのか、他に増築している部分はないか、確認をおこないます。建物の情報を変更する登記は、ただ床面積が変わったからそこだけ変更するということはできません。たとえば既存の建物が居宅として利用し、増築した部分が店舗として利用していれば増築の登記と「居宅」から「居宅・店舗」と種類の変更の登記をする必要があります。すなわち登記に記録されているすべての情報を現在の建物と同じにしなければいけません。


「どのように増築したのか」

増築した建物が既存の建物の壁を壊しくっつけた状態になっているのか、隣の建物に増築したものの、既存の建物とは独立して利用されているのか、別の建物の間に増築をしているのかによって登記の内容が異なります。増築した部分が既存と独立して利用されている場合は、区分建物の登記を考えなければなりません。また別の建物の間に増築をしている場合は、建物合体登記を考える必要があります。
特に建物が横方向に増築した場合は所有者が複数いないか、都税事務所や市区町村の税務課で増築した建物に既存の建物が含まれているかチェックをします。もし既存の建物があったときは、建物合体登記の申請となります。この登記申請は建物の所有者が合体後の建物のどの部分を持つか、割合はどのくらいか等を記した書類を作成する必要があります。また抵当権がある場合は抵当権者から承諾書をもらう必要があり、書類作成と押印のお願いで非常に時間がかかります。


以上、建物の増築の登記について注意点を含め記しました。
もしわからないことがありましたら、お気軽に私に相談してください。