朝3時ごろ、おなかの痛みで目がさめた。

昨日と同じところ。ズキンズキン、どーん!と痛む。昨日よりも強い痛み。

なんとなく今回の痛みは尋常じゃない感じ。ちっともおさまらない。

眠ることもできずにうんうんうなっていると、ショウちゃんが気がついて「救急外来で見てもらおう」といった。

ひょっとして盲腸?とちらっと思った。

今日は同窓会当日。総会担当の私は、朝8時には学校に集合しなければならない。

今すぐ診てもらって、痛み止めとかもらえば、集合に間に合うかもしれない。

この時点ではまだそんな事を考えていた。

部屋には、同窓会に着ていくつもりで、ブラウスとスカート、そしておニューのパンプスが用意してある。

「帰りは遅くなって寒くなるかもしれないから、ジャケットもいるなー」って思いながら部屋をでる。

ショウちゃんに運転してもらって、T病院に向かう。

時間外の入り口からはいり、待合室で少し待って、診察室にはいる。

問診のあと、ベッドに横になって痛みの部分を触診。ギュッと押さえて「ここ痛いですか?離したあと痛みがきますか?」と聞かれるが、めちゃ痛くて

「い、痛いです・・」としか答えられない。この時点では先生(内科)も盲腸を疑っていたみたい。

「CTを撮ってみましょう」ということで、移動。この時点ではあんまり痛みは感じず、しゃきしゃき歩く。

結果がでるまで、点滴をうちながら待つ。

しばらくして先生に呼ばれ結果をきくと

「これは盲腸ですねー。こんな大きな盲腸見たことがない」

「え?そうなんですか?」(マジで盲腸だったのかー?)

「もう一人の先生にも見てもらいますので、お待ちください」

 

しばらくすると、もうひとりの先生(内科)が私のベットのところまでやってきた。

「盲腸なんかじゃありません。左右どちらもはれているので、場所的にも卵巣嚢腫の疑いがあります」

(おい、おい、見たこともないようなでかい盲腸じゃなかったんかいっ)

なんてつっこみをする間もなく

「今、急いで、婦人科の先生を自宅から呼んでますのでお待ちください!」

(え?そんな急を要する事態?大変な状態なの?ひょっとして同窓会無理?)

 

 

婦人科の先生到着。若い男の先生。しかも、アーミーっぽい私服のまま。(そんな緊急な状態なの?)

「CTとレントゲンの結果、間違いなく、卵巣嚢腫と思われます。しかも、捻転を起こしてる可能性が大きいのでとってしまった方がいいと思います」

・・・「とってしまう」って、手術ってこと?え~っ?

「内診しますので、婦人科の診察室にお願いします。」

看護師さんが車椅子もってきましょうか?といってくれたけど、そのときは痛くもなんともなくて、点滴をごろごろ引っ張って歩いて2Fまで。

内診の結果は・・

「今日明日にでも手術しましょう。このまま入院となります」

・・・ちょっと待って!え~??

「ニュ、ニューインって、いつまでですか?」

「順調にいけば、25日退院となります」

 

ここまで来てやっと「同窓会は無理」と悟る。

人生初の全身麻酔、開腹手術を」するんだと理解する。

(いや、いや、このまま入院は無理!絶対無理!私がいなきゃ仕事まわらない!出荷も何もできないじゃん!!

一旦帰る!お願い一旦帰してください!!)

という心のパニくりはおさえつつ「どうしても一度家にもどらないといけないので、なんとかお願いします」と頼み込み

「2時までに絶対帰ってきてくださいね」といわれ、アヤ迎えにきてもらう。

 

さぁ、ここからが大変!

考えろ!考えろ私!

この数時間で何をしなきゃいけないか。

何が最重要事項なのか。

 

車中から、事務のKちゃんに電話し事情を話し「すぐに来て!」と呼びつける。

ショウちゃんKちゃん二人そろったところで、伝票の入力の仕方、出荷の仕方、いろんなとこから、いろんなもの引っ張り出して手当りしだい説明する。

20日の請求書発行はなんともならない。ちょっと遅らせるしかない。25日の給料日は退院当日、何とかなるか?

あとはよかったっけ?手術の麻酔効いてる間は何ともならないが、そのほかはメールのやりとりで何とかなるか?

お腹がシクシクと痛み始めるがそんな事いってられない!

めちゃ短時間最低限おおざっぱな引き継ぎをなんとか終える。

 

それからは、部屋に帰って入院の準備。パジャマ、下着、タオル、洗面用具、・・あと、なんか足りないものは売店に売ってるだろう。

携帯(スマホにしといてよかった)、充電器。文庫本、とにかく思いついたものを、カバンにつめこむ。

実家と姉に入院手術のことを連絡する。

お昼ご飯にコンビニ弁当を食べる。しばらく家でご飯たべれないんだなぁと思ったらちょっと入院の実感がわいてきた。

時間がきたので、アヤに送ってもらって病院へ。

ショウちゃんが個室を希望してくれたが、この日は半日だけなので、4人部屋へ。

パジャマに着替え、ベッドに横になる。

アヤがつきそってくれてあれこれ動いてくれる。

4人部屋なのでテレビの音ははイヤホンで聞く。暇だからただ見ているだけという感じで内容は全く頭にはいってこない。

執刀する先生、手術室担当の看護師さん、麻酔科の先生からいろいろ説明をうけ

「何か不安に思うこと聞きたいことがあったら遠慮せずに聞いてください」と言ってくれたが、なぜか心が落ち着いていて「まぁ、なんとかなるでしょ!」って感じだった。

翌日が手術だから絶食かと思ったら、晩御飯が出た。

薄味であまりおいしくないだろうと思ったが、結構おいしくて、ビールが欲しくなった。(おいっ!)

 

寝るつもりはなくても、気が付くとちょこちょこ寝ている。

水分補給(?)の点滴を何回かする。体温、血圧をはかる。など、ちょこちょこ看護師さんが来る。

夜、看護師さんが下剤を2錠持ってきてくれた。手術前におなかを空っぽにしとかないといけないんだけど、ゴロゴロいってるわりにはなかなかでない。

「出なかったら明日浣腸しますねー」といわれていたので自力でなんとかしたかったが・・・・(翌日浣腸となった・・(涙))

同級生から何通かメールがきてる。「びっくりしたよー」と言ってる。(しょうちゃんが、最低限知らせておかないといけない人達には連絡してくれた)

ごめんごめん、ほんと急で申し訳ない。

代表幹事みずから、窮極のドタキャンをしてしまった。

消灯時間のちょっと前に、Kちゃん、Yちゃんがきてくれた。

それからお姉ちゃん。出張の帰りに直行してくれたらしい。お姉ちゃんは別の病院の看護師長をしてるんで、なんでも聞けてほんと頼りになる。

 

よし寝るぞ!と気合を入れるまでもなく、知らない間に眠りについていた。

隣のベッドのおばあさん?の、いびきや、ナースコールで目が覚める。向かいのベッドの人の辛そうな唸り声で目が覚める。

でも、ずっとうとうとしていて明日手術だっていう緊張感もなく、「同窓会どうだったかなー」とぼんやり考えながら、長いようで短い夜が過ぎて行った。