昨日、マラソン大会が行われました。
ケンは朝「今日はがんばるぞっ!」と気合いをいれて出かけていきました。お昼近くになって学校へ様子を見に行くと、まだ走り始める前で、私の姿を見つけて余裕の笑顔。
いよいよスタート。
4年男子真ん中くらいで走りはじめました。校門をでて再び帰ってくるまでは、レースの展開はわかりません。寒い中校庭でまっていると、ぼつぼつと早い子達が帰ってきました。試走したときは確か18位だったので、それくらいか、いや今回はもうちょっといいかも・・いろいろ思いながら待っていますが、なかなかケンの姿が見えません。20位をすぎてもまだこない。ちょっと心配になってきました。
すると・・・、きましたきました。
ホッペタを真っ赤にして、ハーハーと荒い息づかいで。走る前のあの笑顔はどこにもありません。思わず「ケン、がんばれー!!あとすこしー!」と大声をだしてしまいました。すると、私の顔を見たとたん、泣きそうな顔で猛ダッシュ。前の子との距離は5m以上離れているので、ぬかせるわけもないのに・・・。
やっとの思いでゴールして、体操座りでヒザをかかえているケンのそばにいくと、すぐ横に「26」と書いた小さな紙がおいてありました。この「26」という数字は、今のケンにとっては、ものすごく恥ずかしい、悔しい数字でしょう。かかえたケンの膝小僧に、ぽたぽたと涙と鼻水が落ちてきました。
本当は、順位を書いた紙をもって、にっこりVサインをするケンの姿を撮ろうと、デジカメをもってきていました。でも、とても、カメラをむけることが出来ないほど、泣いていました。
悔しかったんだろーなー。辛いだろーなー。かける言葉が出てきませんでした。
そんな中、うれしかったのはクラスメート達のかけてくれた言葉。
「ケン、大丈夫ー?」「気にするなー」「ケンはいっつもオレよりだいぶ前だったもんなー」
そんな優しい言葉で、どれだけケンと私は救われたでしょう。ケンはこんなにも、友達に気にかけてもらえる子なんだと思ったら、なんだかうれしくなってきました。
その後、私はそのまま帰ってきてしまったので、それからのケンにどんな事があったかは分かりませんが「ただいまー!」と帰ってきたケンは、いつものケンに戻っていました。「走っとる途中で足がズキーンって痛くなってー・・」とべらべらとマラソンの実況中継がはじまりました。ほっとしながら聞いていました。
そして気がつけば、ファンヒーターの前で寝転がってゲーム。
それは、いつもと同じケンの姿だけれど、ケンの心の中の引き出しには何か一つ新しいものが増えてるんでしょうねー。
さあ、ご飯の支度。
「ちょっとー。宿題やったのー!?」「ちゃんとカバン片づけやー」「もう、このデュエルのカードほかるでねー!!」私も、いつもと同じ姿。でも、心の中の引き出しには・・・・