再会 | とっさんの幸せ。

再会

 
………少しの沈黙の後、 

『うん』



一言だけ弱々しい声が聞こえた


何がなんだか解らなかった 

家の前に………いる? 

…………ナンデ? 


いろんな疑問が自分のなかったを巡ったが、疑問の中にも喜びの感情も見え隠れしていた 



私はインターホンの受話器を置き、玄関に向かう。 


鍵を開け、ゆっくりと扉を開いた…… 






そこには、紛れもなく彼という人間がいた 



忘れられないと思い、

忘れようと思い、

それでも、私の心の真ん中に常にいた彼が。 






『とりあえず、中に入んなよ』




これだけ言うのが精一杯だった 





大好きで大好きで、

でもだからこそ許せなくて、 



そんな自分にも腹がたって 


いつか会ったら、言ってやろうと思ってた言葉の波が 

……多すぎて



いや、何も言えなかっただけかもしれない。 





ドアの前にいた彼は 

前と雰囲気が変わっていた 


雨など降ってはいなかったが、ずぶ濡れの子猫という表現が一番近いかもしれない 




彼を部屋に通し、ソファーの無い私の部屋のベッドに彼を座らせた。 






コーヒーを入れ、私も彼の横に腰掛けた 




何から話すべきなのか 



彼から話すのを待つべきなのか 




わからず、数分の沈黙が二人を包んでいた 



私の心は言葉のさざ波が押し寄せ、


何から話すべきなのか 


必死に探していた




彼氏という友達より近いハズの存在が、今までずっと遠かったのに



今、手を伸ばせば すぐ届く所にその彼がいる





私に会いに来てくれた 




どうして、それだけで満足できなかったのだろう 





許せないと思っていた相手に 




それでも触れたいと 思ってしまうのだろう 





傷つくのが 


予想できたはずなのに