昨年末からの流行が報じられている、マイコプラズマ肺炎について紹介します。

 

マイコプラズマとは、細菌とウイルスの中間に位置する、自己増殖可能な最小微生物です。

 

細胞壁はありませんが細胞膜はあるため、分類学的には細菌の仲間に入ります。

 

マイコプラズマ目に分類されていて、様々な種類があります。

 

このうち、呼吸器感染症や肺炎を起こすのが、マイコプラズマ・ニュウモニエです。

 

春と秋に多発し、流行のピークが4年ごとにあるのが特徴的です。

 

症状は普通の肺炎と変わりません。

 

発熱、咽頭痛、頭痛、喀痰などがみられます。

 

X線写真では、大葉性肺炎はまれで非定型肺炎(異型肺炎)を呈します。

 

高齢者では熱の出ない例も多く、症状だけでは診断かつかない場合も多いんですよ。

 

発熱外来を開いている呼吸器内科の先生の話では、昨年の秋以降年末にかけて、発熱や風邪症状で来院した患者さんでは、インフルエンザと新型コロナの検査をして陰性の場合は、ほぼマイコプラズマとのことです。

 

新型コロナの3年間、マイコプラズマ肺炎の患者はほぼゼロでしたので、4年米のピークと併せて、今年も冬から春にかけて大流行する可能性があります。

 

さて、治療ですね。

 

ガイドラインでは、第一選択薬はマクロライド系の抗生剤です。

 

残念なことに我が国では、過去の抗生剤の乱用の結果、耐性菌が多いのが現状です。

 

このため、投与後48時間経っても改善が見られない場合には、マクロライド耐性菌と考え、トスフロキサシン(ニューキロノン系抗生剤)かミノマイシン(テトラサイクリン系抗生剤:小児では8歳以上で使用可)に変更することが推奨されています。

 

肺炎に広く使用されているペニシリンやセフェム系抗生剤は、細胞壁のないマイコプラズマには残念なことに効果がありません。

 

小児のマイコプラズマ感染症の多くは、自然治癒しますので、抗生剤の使用は必須ではないことも知っておくべきでしょう。