(はしか、発熱と全身の発疹を特徴とするウイルス感染症です)

 

冠状病毒オミクロンの2倍以上、最強の感染力を持つウイルス性疾患、はしか(麻疹)についてお話しします。

 

発熱、咳、鼻風邪、結膜炎などで発症。

 

これに引き続いて、全身に球状の丘疹を生じるのが特徴です。

 

(はしかの丘疹)

 

全身の丘疹に先行して口腔内の粘膜に、コプリック斑が出現し、診断的所見とされています。

 

(口腔内のコプリック)

 

はしかワクチンが普及する前は、毎年世界中で500万~800万人が、死亡していたと推計されています。

 

麻疹ウイルスは、球形をしたRNAウイルスです。

 

そもそもは、人獣共通の感染症でした。

 

人類の人口が、ウイルス感染を維持できるほど増加した1万年ほど前に、種を越えて動物から人に伝播したと考えられています。

 

インフルエンザやコロナなどRNAウイルスは、通常高い変異性を持っていますが、麻疹ウイルスは1つの抗原型しか持っていません。

 

このため、数十年前に開発されたワクチンの有効性は持続しており、今でも全世界で使われ続けています。

 

感染者のほとんどは麻疹から回復し、再感染を防止する長期間の防御免疫が成立します。

 

死亡率は先進諸国では0.1%以下ですが、アフリカでは現在でも5~10%以上の国があります。

 

WHOは、地球規模での麻疹ワクチン接種を推進することにより、2000年の死亡者総数75万人を90%減少することを目的に活動しています。

 

( WHOの紋章です)

 

この様に、麻疹に対しワクチン接種が非常に有効なため、天然痘に続いてウイルス自体を絶滅することが可能と考えられています。

 

しかし、そのためには全世界での、徹底したワクチン接種が必要です。

 

残念なことに、日本を含めた欧米諸国では、麻疹流行の減少から、一時期ワクチン接種を緩和した時期がありました。

 

最近、先進諸国で患者数の再上昇がみられるようになったのは、こんな理由があったのです。

 

このため、麻疹に関してもより勘弁に大量接種が可能なワクチンの開発や、ワクチン接種を勧める根気強い啓蒙活動が必要と考えられています。