11月になっても、日中は夏日と言う、異常な暑さが続いています。
とは云え、さすがに朝夕は大分涼しくなりました。
水戸市内の銀杏の葉も、日々黄色く色付いていますねぇ。
さて、今回はそんな銀杏のお話です。
ところで銀杏(ぎんなん)と書いてイチョウ。
これおかしいですね。
どう読んでも、ギンナンです。
なぜ、日本ではイチョウを銀杏と表記するのでしょう。
まずは、ここから解き明かして行きましょう。
イチョウの原産地は中国。
中国語では「鴨脚」と表記され「ヤーチャオ」と発音されます。
「鴨脚」と表記されるのは、イチョウの葉が鴨の足の水かきに似ているからです。
そして「ヤーチャオ」が「イチョウ」と聞こえることから、和名はイチョウとなりました。
それでは、どうしてイチョウに「銀杏」の字が当てられることになったのでしょう。
イチョウの実のギンナンは、食用となる部分が硬い殻に覆われています。
この殻は銀色に見えなくもなく、形状は杏の種に似ています。
そこから、「銀杏」の名称が生まれ「ギンナン」と発音されるようになりました。
銀杏は実であるギンナンの名称として用いられていましたが、やがて親木であるイチョウにもこの漢字が当てられるようになったのです。
イチョウの漢字表記には、「銀杏」の他に「公孫樹」があります。
イチョウの木は生長するスピードは速いのですが、実をつけるまでには三十年以上かかると云われています。
孫の代になって初めて実をつける意から、「公孫樹」と表記されるようになったそうです。
公孫は公子と同意で、他人の子や孫の尊称です。
中国原産のイチョウは、遣唐使が持ち帰ったと思われますが、銀杏と表記され始めるのは14世紀に入ってからのことです。
イチョウの木は、神社・仏閣に多く植えられていますので、お茶の木と同様、留学僧達が持ち帰ったのでしょう。