有名な芸能人が罹患したことで、急に話題になったのがライム病です。
まあ、これも現在のキャンプブームの影響ですね。
ライム病は、古典的回帰熱、新興回帰熱であるボレミアミヤモトイ病(BMD)と同じ、ダニやシラミで媒介されるボレリア病の一つです。
つまり、スピロヘータの一種であるボレリア族細菌を原因菌とする感染症なのです。
1976年、米国コネチカット州のライム地方で、この病気が多発していることが分かり、独立した疾患ライム病として認知されました。
米国では、毎年2500件以上の新規感染者が報告されています。
日本では、ボレリア症としてライム病、新興回帰熱(BMD)と古典回帰熱があります。
このうち古典的回帰熱は、20世紀の初頭までは、シラミが媒介する感染症として、我が国でも多発していました。
しかし、シラミがほぼ絶滅した現在、国内での発生は報告されていません。
一方、ライム病およびBMDは、山野に生息するマダニの刺咬により感染します。
我が国での発生数は、そう多くはありませんが、北海道の山野を中心にキャンプや山仕事などで感染の機会が生じます。
本州中部の高山地帯でも、感染例が散見されています。
海外では、北米や欧州など北半球の高緯度地帯での感染例が多いようです。
ライム病では、感染部位でスピロヘータが増殖し、皮膚症状を起こした後、全身に播種して、さまざまな臓器で障害をおこします。
感染初期にみられる特徴的な皮膚病変は、遊走性紅斑と呼ばれるます。
症状の進行は比較的穏やかですが、適切な治療が遅れると、拡大性皮膚病変、神経症状や関節炎、心炎、房室ブロックなどを生じることがあります。
BMDは急性の熱性疾患で、ライム病のように皮膚症状を呈することはまれです。
ダニに咬まれた後、10日前後の潜伏期を経て、菌血症による高熱で発症します。
ライム病、BMDともに治療薬としては、テトラサイクリン系の抗生物質が使用されています。
ダニに刺された後、皮膚病変や発熱した時は、すぐに医療機関を受診して下さい。