狂犬病。  

 

正式の医学名は 英語で「rabies」です。

 

狂犬病は、狂犬病ウイルスによる急性の感染性疾患です。

 

感染は、感染した動物に咬まれることにより発病します。

 

現在でも、アフリカやアジアの最貧国では、イヌの狂犬病が多くみられますが、欧米など裕福な国ではイヌの狂犬病流行は認められません。

 

裕福な国では、犬達はワクチンを打っています。

 

実際には、野生動物間で流行しており、種々のウイルス保有動物が確認されています。

 

2008年の米国のデータでは、6841例の動物の狂犬病のうち、たったの7%が家畜によるも

のでした。

 

家畜では、ネコ294件、イヌ75件、ウシ59件と報告されています。

 

アメリカでは、猫によるものが最多で狂犬病ではなく狂猫病ですね。

 

猫にもワクチンだ。

 

 

病型は脳炎(狂騒)型と麻痺型の2型があり、ともに死に至ります。

 

狂犬病は、リッサウイルス属に含まれ、多くの動物に感染し、人に感染した場合には重篤な神経疾患を起こします。

 

多くの国では、イヌで狂犬病が流行し、イヌから人に伝染します。

 

 

北米では、狂犬病は通常、野生のコウモリによって引き起こされているんです。

 

狂犬病は、発病するとほぼ100%死亡しますので、狂犬病の動物に咬まれた後、速やかに不活性化ワクチンをする必要があります。

 

暴露後のワクチン接種は、全世界で毎年1500万人が受けており、毎年33万人の狂犬病発症を防いでいると推定されています。

 

ワクチン未接種の患者では、抗狂犬病免疫グロブリンによる受動免疫療法が行われています。

 

暴露前の狂犬病予防法としては、狂犬病の流行地への旅行者、感染の恐れのある職業の従事者は、事前のワクチン接種が推奨されています。

 

アフリカ、アジアの農村部では、狂犬病はまれではなく、毎年5万人以上が死亡していると推定されています。

 

この様な、地域に旅行を考えている人は、必ず事前にワクチンの接種を行ってください。

 

現在、狂犬病が発生していない国は、日本・アイルランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・ハワイ・グァム・フィジー・オーストラリア・ニュージーランドです。

 

世界の大半の国では、狂犬病は撲滅されていません。

 

日本のような安全な国は、少数派なのですよ。

 

日本でも、国産の不活性化狂犬病ワクチンが認可され、現在使用可能です。

 

最後に、犬達のお願いです。

 

この病気の、一般的な病名は恐水病です。

 

江戸時代の蘭学者は、直訳し蘭学の医書では、病名は恐水病でした。

 

ところが、明治初期に犬から人畜への感染が急増し、社会問題になったのを受けて、獣疫予防法が設定されました。

 

そして、狂犬病が牛痘・羊痘とならんで、届け出が必要な獣疫とされたのです。

 

この法律では、恐水病は人の病名、狂犬病は獣疫名と使い分けされていました。

 

ところが、大正期になって恐水病に代わり狂犬病が病名として普及し、現在に至っています。

 

英語圏の病名は、hydrophobiaまたはrabiesです。

 

日本語訳としては、恐水病が正しいんですよ。

 

多くの犬さん達は、狂犬病と呼ばないで、とお願いしています。