(学童・生徒にも突然死がおこります)

 

毎年4月になると始まるのが、小学校、中学校、高等学校の一年生を対象とした心臓検診です。

 

学校心臓検診の目的は、学校管理下の状況における、突然死の減少と予防にあります。

 

学校管理下の突然死数は、平成5年には年間101件で、うち83人(82%)が、心臓突然死とされています。

 

心臓突然死の発生状況ですが、そのほとんどは運動と関連しています。

 

運動中の発生が50%、運動直後が20%で全体の70%が、運動との関連で死亡。

 

運動の中で、最も多いのがランニングに伴うものです。

 

その内訳ですが、ランニング中が75%、ゴール前後が25%と報告されています。

 

ランニングの次に多いのは、登校、下校、校内などでの歩行時、そしてサッカー、バスケットボールなど、球技中の死亡です。

 

性別では、圧倒的に男児に多く、女児に比べて小学校で1.8倍、中学校で2倍、高校では2.5倍といわれています。

 

年齢との関係では、小学校低学年では少ないのですが、4年生から増加し始めます。

 

中学生になると、突然死の数は小学校6年の2倍になります。

 

中学校の3年間では、年齢とともに多少の増加がみられる程度ですが、高校1年時には中学3年の1.7倍と急増します。

 

突然死の増加は運動量に関連し、高校で2年から3年にかけて減少するのは、受験勉強で運動量がへることによると考えられています。

 

平成7年度から、学校心臓検診に12誘導心電図検査が導入されました。

 

(小・中・高校生を対象として心電図を用いた心臓検診が行われています)

 

その後、学校管理下での心臓突然死の件数は減少し続け、平成14年には38名まで減少しています。

 

さらにその後、学校内のAED設置が進み、教員への心肺蘇生法の普及も進捗しました。

 

(AEDは心臓突然死の予防に大変有効です)

 

この様な努力の結果、平成29年度の学校管理下での突然死は25名、うち心臓突然死は12人にまで減少しています。

 

(学校職員への心肺蘇生法の普及も進んでいます)

 

小・中・高校の学校管理下で、心臓突然死を起こしうる疾患は、先天性心疾患(冠動脈奇形を含む)、心筋症、心膜・心筋炎、川崎病、不整脈などです。

 

突然死を生じうる不整脈には、QT延長症候群、多形性心室性期外収縮、心室頻拍、特発性心室細動、WPW症候群(突然死は非常にまれです)などがあります。

 

この内、高校1年生で行われる心臓検診の成績としては、心電図異常とされたもののうち、心室性期外収縮が44%と最も多く、WPW症候群11%、完全右脚ブロック6.4%、上室性期外収縮4.8%、1度房室ブロック4.4%、QT延長症候群2.4%、心室頻拍0.1%だった報告されています。

 

ハイリスクなものとして、QT延長症候群と心室頻拍がありますが、その比率は少ないのが実情です。

 

学校心臓検診では不整脈が診断されていない例でも、心停止に至った症例もあるため、検診の限界を考慮して、教育現場でAEDなどを活用していくことが重要です。