今回も魚から人に感染する、寄生虫のお話です。

 

俗称は、サナダムシ。

 

正式な名称は、広節裂頭条虫です。

 

虫体は真田紐に似た紐状で、5~10メートルに達します。

 

このため、サナダムシと呼ばれました。

 

 

この仲間は世界中に広く分布しています。

 

中間宿主がマス、サケ、川マスなどのため、これらをよく食べる国で寄生虫症として報告されています。

 

日本、ロシア、スイス、ドイツ、イタリア、チリ、バルト海沿岸諸国です。

 

日本では、アニサキス、横川吸虫、に次いで第3位の寄生虫疾患ですぞー。

 

最終宿主(ひと、犬、猫、狐、熊など)の小腸で生み出された虫卵は、糞便と一緒に排泄され発育。

 

次に、第1宿主のミジンコに接種されると、その体内で成長しプロセルコイドと云う幼虫になります。

 

さらにミジンコが魚類に食べられると、幼虫は筋肉内に移動し感染型幼虫(プレロセコイド)に成長します。

 

これを最終宿主が食べると、その腸内で2~4週間のうちに成虫になるのです。

 

日本での、中間宿主としては、マス、サケ、カマス、スズキなどが報告されています。

 

感染症状は、下痢や腹痛ですが、自覚症状がない例も多く認められます。

 

北欧諸国では、本症による重症の貧血もあるようです。

 

魚の生食により感染しますので、マス、サケなど高リスクの魚を生で食べないことが、感染予防の原則です。

 

我が国では、マス寿司が重要な感染源になっており、本症は富山県で多く報告されています。

 

 

 

私も、大昔、研修医のころに1例経験しました。

 

除虫剤の服薬で、肛門から長大なサナダムシが排泄されます。

 

サナダムシ感染によるプラスの作用として、アレルギー症に対する抑制効果があります。

 

サナダムシは人体においてアレルギー反応を抑制する成分を分泌しており、本成分を用いた抗アレルギー薬開発の研究も行われているようです。

 

また、楽ちんなダイエット法としても期待されており、有名な話としてオペラ歌手のマリア・カラスがサナダムシでダイエットしたとエピソードが伝わっています。

 

しかし、この様な事実はなく、この話は伝記作家の創作のようです。