(肺がんは日本で最も死亡者の多いがんです)
肺がんの診断には胸部CT検査が用いられ、現時点ではMRI検査が使われることはありません。
(早期肺がんのCT画像)
その原因は、肺野では気道・肺胞の空気と肺実質との間に強い磁化率効果が存在するため、MRI信号を有効に取り出すことができないためです。
このため、MRIの肺野領域への臨床利用はCTやPET/CTと異なりほとんど行われていませんでした。
(PET/CTによる肺がん診断)
しかし、MRI信号を取り出しにくい問題は、理論的にはエコー時間を極めて短くしたultrashort TE(UTE)を用いることで解決できると考えられていました。
近年になって、MRI装置のハードとソフトの改良が進み、ようやくUTIの臨床利用が可能となってきました。
肺がんの診断は、CTあるいはPET/CTで行えますが、MRI診断は被爆がないため、小児、妊婦、長期間経過観察が必要な患者においては必要性があると思われます。
MRIを用いた肺がん診断についていくつかの報告があります。
肺がんでは、UTEパルスシークエンスを用いたMRIは、小結節の検出能において底線量CTと差がないとの報告があります。
また、腫瘍の良悪性の鑑別では拡散強調MRIを用いた研究のメタアナリシスでは、感度83%、特異度80%だったと報告されています。
ダイナミックMRIや拡散強調MRIはFDG・PET/CTより肺がん診断能が高いとする報告もあります。
また、肺がんの病期診断においても、MRIがFDG・PET/CTより優れるとする報告もあります。
このように、MRI技術の進歩により肺がんの診断においても、MRI検査の適応が拡大してきました。
今後、UTEパルスシーケンスを用いたMRI検査の環境が整えば、胸部MRIの肺がんを含む呼吸器疾患への臨床応用が加速してくると期待されます。


