(尿路結石の痛みは尿路に沿って生じ、背中(背部)に放散します)
泌尿器系、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに生じる結石を、尿路結石と呼びます。
解剖学的な構造から、腎臓と尿管の結石を上部尿路結石、膀胱と尿道の結石を下部尿路結石と区別します。
(尿路結石の模式図)
ほとんどが上部結石で、全体の約95%を占めます。
明確な男女差があり男性の発生が多く、上部結石では2.4:1、下部結石では3.6:1と報告されています。
構成人口や生活様式の変化に伴い、尿路結石の発生率は顕著な増加が認められています。
1965年の調査に比較して、現在では男女とも約3倍に発生頻度が増加しています。
急増の原因としては、食生活や生活様式の欧米化、超音波検査など診断技術の向上、人口の高齢化などが挙げられています。
尿路結石による受診者数には季節変動があります。
外気温と結石疼痛発作は密接な関連があり、年齢・性別によらず7~9月に多くみられます。
このため、地球温暖化の影響を受け、米国では2050年には尿路結石患者は30%増加する、と推測されています。
また、発生に関して地域差と人種差があります。
尿路結石の有病率は先進国で高く、発展途上国で低いとされています。
人種差では、白人、ヒスパニック、黒人、アジア系の順で罹患者が多いようです。
日本国内では、九州や近畿で多く、東北東部、関東北部で少ないと報告されています。
尿路結石と関連する因子としては、肥満、メタボリックシンドローム、高カルシウム尿症、高尿酸尿症、高シュウ酸尿症、高クエン酸尿症が挙げられています。
(ほうれん草はシュウ酸が多く含まれています)
この内、高シュウ酸尿症との関連が最も高く、シュウ酸を豊富に含む食物、ほうれん草、チョコレート、ピーナッツなどの大量摂取には注意が必要です。
(チョコレートも結石にはダメです)
親族に尿路結石のある人では、発症頻度が2.6倍とされていますので、上記食品を食べるのは、ほどほどにした方がよいでしょう。
(千葉県産のピーナッツ、これもシュウ酸を多く含んでいます)
予防としては、抗酸化作用をもつビタミンEやカテキンを多く含む緑茶を結石モデル動物に投与したところ、結石が抑制されたと云う報告があります。
犬は尿酸の代謝が人間と異なっており、尿路結石には罹患しないとされています。
例外は、ダルメシアンで尿路結石を発症する唯一の犬種だそうです。
(ダルメシアン、尿路結石で苦しみます。ワン。)