2020年1月末に、初めて水痘・帯状疱疹に対する不活性化ワクチンが、使用可能になりましたので報告します。


これが、最近高齢者の帯状疱疹ワクチン接種を勧めるニュースが多い理由ですが

 

水痘・帯状疱疹ウイルスは、初感染で水痘を発症した後、知覚神経節に潜伏感染していますが、免疫低下などが誘因となり、再活性化して帯状疱疹を生じます。

 

帯状疱疹の発生頻度は、年間1000人あたり5人程度とされています。

 

加齢に伴い増加し、50歳を境に発症率は急激に増加ます。70歳以上では1000人あたり10人以上となります。

 

我が国では、年間約60万人程度が帯状疱疹を発症していると推計されています。

 

抗ヘルペスウイルス薬の登場により、帯状疱疹の治療成績は、飛躍的に改善しました。

 

しかし、現在でも様々な合併症や帯状疱疹後神経痛(PHN)により、長期間苦しむ患者も少なくありません。

 

帯状疱疹後のPHN発症数は、約20%とされています。

 

従来、水痘ワクチンとして、乾燥弱毒性生ワクチンが用いられてきました。

 

本ワクチンは、加齢と伴に低下する水痘ウイルス免疫を回復する効果を有するため、2016年3月から50歳以上の成人の帯状疱疹発症予防にも適応となりました。

 

しかし、生ワクチンであるため、膠原病患者など明らかに免疫機能に異常を有する患者や、免疫抑制を来す治療を受けている患者は、接種不適応でした。

 

2020年1月末より、グラクソ・スミスクライン社から、不活性サブユニットワクチンの販売が開始されました。

 

本ワクチンは免疫機能異常・抑制患者でも接種可能であり、従来の生ワクチンより高齢者の免疫力回復効果が強いことが報告されています。

 

帯状疱疹発症予防効果は、生ワクチンの70%に比べて、50歳以上で97%、70歳以上で90%とはるかに高いのです。

 

欠点としては、2回摂取が必要なため、接種料金が生ワクチンの1万円に比べて、3倍以上かかることがあげられます。

 

また、使用が開始されたばかりであるため、接種後4年以上の、長期帯状疱疹発症予防効果については、情報がいまだ不明で、今後の調査が必要とされています。