耳鳴りとは、実際の音刺激がないのに音を感じる状態を指します。


主観的な症状のため、その正確な評価は難しいのが実情です。

 

遮音室では、健常聴力者でも九割以上が、なんらかの耳鳴りを感知する。


と云われています。


また、耳鳴りの苦痛度と、聴力や耳鳴り検査の結果とは、相関がないことが報告されています。

 

ジー、キーン、シーンなどと表現される耳鳴りは、加齢性の難聴の特徴です。

 

60歳以上の3割の人が耳鳴りを自覚。


その内の、およそ1割の人が、耳鳴りを苦痛と感じています。

 

耳鳴りの苦痛度は、問診票で評価されます。


苦痛度の高い人は、不眠、不安、抑うつと云った、精神症状の合併がよくみられます。

 

耳鳴りは発症後、最初の数年間は苦痛度が高いのです。


しかし、難聴の進行と伴に増悪することは、あまりありません。


時間の経過と伴に軽くなったり、消失することもあるんですよ。

 

耳鳴りの有病率は、60~70歳代がピークで、80歳を超えると、むしろ頻度が下がることが知られています。

 

静かな環境を避けるだけで、苦痛度が減る場合もあります。

 

このため、耳鳴りが気になりやすい入眠時に、タイマーをセットして、枕元でラジオや音楽を流すことが有効です。

 

音の種類としては、ホワイトノイズなどの広帯域のノイズが効果的。


滝の音や川のせせらぎなどの音も勧められています。

 

耳鳴りを完全に遮蔽するのではなく、耳鳴りがぎりぎり聞こえる程度の音量にするのが重要です。

 

難聴が強い場合には、補聴器の装着が難聴だけでなく耳鳴りの軽減にも有効と推奨されています。

 

低音の耳鳴りや、変動性のものは、治療の必要な耳の病気を合併している可能性があります。


この場合は、耳鼻科を受診して、内耳や聴神経の病気がないか精査して下さい。