連載漫画を紹介していこう。



巻頭は、「弾丸児」(九里一平 / タツノコプロ)である。主人公は「川上哲治」、そう俺らの世代までは「打撃の神様」で通用した、まあ、一般的に言えば、巨人のV9の時の川上監督。その少年時代の物語。おそらく、この10年くらい前ならば、「川上哲治物語」として普通に掲載されていたとは思うけど、さすがに当時の子供としても、今、川上哲治?と多少の違和感はあったかな。
川上哲治の現役時代は見たことがないけど、俺らの「打撃の神様」としての川上像は、ご存じ「巨人の星」のオープニング、長嶋茂雄の入団会見を「魔送球」で襲った少年飛雄馬の後を追った川上哲治が、貧乏長屋の裏庭で壁に開けた穴を使ってキャッチボールをする飛雄馬の球を、思い切り打ち返すと言う、もう梶原イズム満載のシーンで、その打球を見事キャッチした一徹が「こんな事が出来るのは、川上哲治しかおらん」と、もはや武芸者同士のやり取りの様な場面で大きくクソガキの心に染みついております。
「巨人の星」が少年マガジンで連載開始したのが、この前年の昭和41年なので、まあ認知度は上がっていたのかな。
で、九里一平は知らなくても、その下にある「タツノコプロ」はご存じでしょう。そう、あのアニメのタツノコプロであります。
昭和40年にタツノコプロ第一作目「宇宙エース」が登場、昭和42年には「マッハGO GO GO」を制作している。で、この当時アニメ制作にも関わっていただろう九里一平はかなり忙しかったはずだが、この連載。さらに、前に画像紹介した次号予告に、タツノコプロ社長である吉田竜夫も「同期の桜」と言う31ページの戦記漫画を書いていると言う手塚治虫並みの多忙ぶり。エネルギッシュですね、当時の漫画家は!



表紙の登場人物の動きの分解写真的構図は、アニメーション作家でもある九里一平の面目躍如たる手腕でしょうか。

しかし、パッパと作品を紹介していこうと思ったのに、一作でパンパンだ。
ともあれ、待て次号!