ふらふら3
美幸が宏を好きになったのが分かる気がする。
オレにないものを彼は持っていた。
彼にふと頼んだことを彼は忠実にしかも完璧にこなし、隼人以外のメンバーはみんな笑顔になり、あれだけゲームに熱中していた緑さんの子供の翔太とかなたも今では大人の話に耳を傾けている。ゲームなんかより大人の人生の話の方が面白い。人生はゲームみたいに全部がクリアできるもんじゃないんだ。
その時声があがった
桃子「私も×1なんです」
かすみ「マジで!子供は?」
桃子「1人」
かすみ「そうなんだ」
晴美「私も×1だよ、ちなみにみどりも」
恭子「っていうか、離婚率高くない」
桃子「高い!」
かすみ「みんないろいろあるのよねぇ」
桃子「あっ、そういえば。ミンミンも×1だぁ。ねぇ、ミンミン」
ミンミン「なんですか?」
桃子「かすみさんも晴美さんもみどりさんも×1なんだって」
ミンミン「チンチャ!私も×1」
恭子「子供は?」
ミンミン「いない」
恭子「そう言えばミンミンさんはいくつなの?」
ミンミン「私は36しゃい。見えない」
かすみ「いや、見える」
ミンミン「・・・あっ、そうですか」
晴美「なんでミンミンさんは日本に留学に来たの」
ミンミン「私は本当は大学卒業したら日本に来たかったのに家の都合で来れなくて、そのまま結婚して、でも旦那が日本出張したまま日本人と浮気して、ムカついて日本に乗り込んできたら、なんか日本、韓国より楽しくて、旦那は日本人と浮気したんじゃなくて、日本という国と浮気したと思いました。だけどやっぱり浮気は許せないから離婚して、でも日本の良さを勉強していたら、盆栽に興味が出て、思い切って20代で出来なかった事をしてみようと思って、盆栽の勉強をしにきました」
晴美「へぇ、なんかよくわからないけど凄いね」
桃子「でね、植木屋の私の内にひょんな事でホームステイする事になって、うちね、もともと留学生の受け入れやってて、で、ピンポイントで留学センターみたいなところから連絡来て」
ミンミン「毎日が勉強できて楽しいです。それにしても今日は楽しいねぇ。本当に楽しい」
晴美「今日はのものも。ミンミンさんさっきのなんだっけ、死ぬまで飲もうみたいな」
ミンミン「オヌル マシゴ チュッチャね」
晴美「じゃあ、×1軍団でオヌルマシゴチュッチャ!」
×1軍団「オヌルマシゴチュッチャ!」
出会いは人を変える。人間は集団を作りたがる。人間は本当は会話を求めている。人間はもっと色々な人と関わりたくてたまらないでいると思う。きっと隼人だってそうだと思う。ゲームだけじゃ分からない事もあるしゲームでしか分からない事もある。仲良くなればなるほどぶつかることもある。バーベキューが始まってまだ1時間。優里はすでに酔って、子供に対してエロトークと人生について語っている。でもそこには笑顔があって、美幸も俺が好きだったかわらない笑顔を振りまきオレはなぜかキュンキュンする苦しい胸を押さえながら、肉を焼き続けるのであった。
夏希「あっ、思い出した!」
周りにいた数人が振り向いた
夏希「君、ブログのチーだろ」
朔「えっ」
夏希「そうだ思い出した、一回だけ写真載せてたよね、だからだ。オレいつも読んでるよ。ずっと片思いの人がいて気づいてもらえない思い」
朔「うわっ、違う、私じゃないです」
夏希「ぜったい、君だって、そうだこの前の夕暮れの写真てここでしょ」
朔「違う、あのその」
夏希「子供のころからずっとその人は好きなのに、もう私はこんなに大人なのにあなたはいつも子供扱い、わたしは」
朔「えっ、いや、いやぁぁぁぁぁ!」
ちーちゃんはそのまま走っていっただれも状況が分からずほげっと見ている。
夏希はしばらくほげっとしていたが、ちーちゃんの雰囲気から何かを感じ取り彼女を追いかけていった。
優里はさらに酔っ払って、ここでおしっこするなんて言い出したけれど、
宏に止められ、晴美さんと美幸にトイレに連れて行かれた。
翔太とかなたはそれを見ながら、失笑していた。
翔太、かなた君たちもいつか分かる時がくるよ。
壊れなきゃやってられない日が来た時に。
そんな事を思っていた時、隼人がさっきいた場所をみるとそこに隼人がいなかった。
温司「隼人?隼人!隼人!」
桃子「隼人ならあそこ」
隼人はなぜか河原の土手から転がっていた。
しばらく見ていたが何回も何回も・・・。
それはまさしくローリングストーン。
なにか自分の中にあったものを削るようにただひたする登っては転がり、登っては転がり、隼人の中で何かが変わろうとしていた。