父2 | 原田篤 オフィシャルブログ『こんな俺にダレがした!』 powered by アメーバブログ

父2




N『なんだかんだ言っても、もう少し僕と飲みたいらしい。部屋に戻り着替えて、いいちこをあける。誰もいない状態で二人っきりで飲むのは多分今回がはじめてだと思う。なんか照れくさくて変な切り出しかたをしてしまう僕』

僕「この頃どう」
父「この頃?」
僕「仲良くしとるのお母さんと」
父「しとるよ」
僕「おばあちゃんは」
父「かわらんな。たまに家に連れてきとるけど、、、この前寿司食いに連れてったら、喉に詰まらせてまあ、びっくりしちゃってさ」
僕「大丈夫だったの」
父「どうにか全部出せたけど、久しぶりにびっくりこいたわ」
僕「リハビリは」
父「やっとるけど、あんまかわらんなあ。お父さんも行くたんびに一階の所で歩かせとるけど変わらんし、それよりこの頃は外に出てこうとするもんでいかんだわ」
僕「そうか。俺も見に行かないかんなあとは思っとるんだけど、なかなか行けんでかんわ」
父「仕事の方はどうだ」
僕「あんましうまくいっとらんけど、どうにかって感じだね」
父「ファンレターとか返しとらんのか」
僕「今は返しとらんね。けどホームページには書き込んだりしとるよ」
父「インターネットか?」
僕「そうだよ」
父「ちゃんと感謝せなあかんぞ。応援してくれる人がおるもんだい出来るんだでな」
僕「そうだね」

N『確かにそうだった、ここんとこ辛かったこととかも、もちろん家族や友達のの支えもあったが一番の大きな支えはファンの子達の手紙やインターネットでの書き込みだった。こんなにたくさんの人達が俺を応援してくれてる、だからがんばらなきゃって。次の日からは父を東京観光に連れて行った。上野、浅草、色々行った。僕も何か自分の中で溜まっていった、悪い物が出て行くようだった。写真好きの父は色々な所で写真をとったりして満足そうだった。毎日酒も一緒に飲んだ。そして父が帰る前、共に過ごす最後の夜、夢を見た。子供の頃の夢、プールもある大きな公園で蟬取りした事、キャッチボールをしたこと、バッティングセンターに行った事、秋の神戸川でハゼ釣りをして、それをお父さんがりょってくれた事。まだまだたくさんの楽しかった子供の頃の思い出が走馬灯のように巡っていった。ふと目が覚めると僕は泣いていた。何度も何度も父が僕に対して描いて来た夢を裏切って大きくなって来たのにずっと笑顔で見守って来てくれたような気がする。そして朝、帰り仕度を済ませた父に僕は行った」

僕「お父さん」
父「なんだ」
僕「まだまだこれからもいろいろ迷惑かけると思うけどごめんね」
父「まあ、お父さんが働けるうちは気にするなて、それよりたまには帰ってこいよ」
僕「いろいろあって、しばらくは帰れんと思うけど、たまに電話するでそれで大目にみといて」

N『僕達は昼食をとってから又都内をふらふらし2時頃東京駅に着いた。とうとう別れの時が来た。いつ今度は会えるのかななんて、たった2時間の距離なのになにか寂しくなっていた。新幹線のホームに見送りに行く途中階段を上る父の後ろ姿
を見た時なぜか父のあんなに大きかった背中がとても小さく見えて涙が溢れてきた。父も確実に年をとっているんだなと初めて思った』