犬アトピー性皮膚炎は『治す』→『予防』する? | 戸部ウータン動物病院のブログ

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犬アトピー性皮膚炎とは、さまざまな免疫学的要因の関わる慢性掻痒性皮膚疾患です。
 
犬アトピー性皮膚炎は人のアトピー性皮膚炎と共通点が多く、しつこいかゆみを管理しQOLを下げない治療や工夫が必要になります。
 
近年では角質構造の異常や角質細胞間脂質、特にセラミドの減少などが報告され皮膚バリア機能障害が犬アトピー性皮膚炎に深く関与していることが示唆されています。
また発症前より先天的な皮膚バリア障害が存在する可能性も考えられています。
犬アトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚疾患という印象が古くから強く持たれていますが皮膚バリア障害疾患といっても過言ではありません。
 
つまり犬アトピー性皮膚炎では目に見えない潜在的な皮膚バリア障害が存在し、症状の再発や減薬の壁になっている可能性が考えられます。
 
皮膚バリアの補填には外用保湿剤が有用ですが、症状のない症例ではどこに外用剤を適応すれば良いのか、、かといって全身に毎日保湿剤を継続して適応することは症例のご家族にとってはかなり高いハードルとなります。
このような場合は栄養に着目した内からの皮膚バリア機能補填を検討すると良いでしょう。
 
近年、皮膚バリア機能に重点を置いたフード皮膚強化食の開発が進んでいます。
ロイヤルカナンのスキンケア小型犬用は皮膚に必要の保湿に重要な役割を果たす角質細胞間脂質のセラミドの原材料となる必須脂肪酸、角化細胞でセラミド産生を増加させるパントテン酸、ニコチン酸アミド、コリン、ヒスチジンなどの栄養素を含む皮膚強化食です。
 
最近では幼少時から皮膚強化食であるロイヤルカナンのスキンケアパピーを継続的に給与されていた犬とそれ以外の一般フードを給与されていた犬との間でスキンケアパピーを給与していた犬はアトピー性皮膚炎の発症した犬は認識されなかったという報告があります。
一方で一般食を給与していた犬にアトピー性皮膚炎の発症がみられた例がありますが、統計学的解析では両群のアトピー性皮膚炎の発生率に大きな差はありませんでした。
 
しかしスキンケアパピーを給与されていた犬の発症数が少ないこと、一般食を食べている子達では様々なフードが選択されていること、品種をコントロールしていないことなど、様々な影響があるためスキンケアパピーを給与することでアトピー性皮膚炎の発症を予防できる可能性を強く言及することはできませんが、皮膚強化食の可能性を感じさせてくれます。
 
 
 
アトピー性皮膚炎の予防に関しては今後もさまざまな期待がされますが、アトピー性皮膚炎好発品種で幼少時から皮膚バリアを補填するための保湿や食事管理を、通常の予防に加えてみることを検討するのも良いかもしれません🐕🦮🐕🦮🐕🦮🐕🦮