腸炎とは小腸や大腸に炎症が起こっている状態です。症状は下痢、嘔吐、食欲不振、脱水、発熱などがあります。小腸に起こるか、大腸に起こるかで症状が異なる場合があります。例えば、血便が見られる場合、大腸に炎症が起こっている可能性が高いです。
原因
腸炎の原因は食事の変化や中毒、寄生虫、感染、ストレスなど多岐に渡ります。寄生虫の感染や明らかな不適切な食事以外の原因特定はなかなか困難といえます。急性腸炎の場合は、原因の特定に関わらず対症療法でよくなることが多いです。
診断
腸炎の診断は、急性腸炎の場合は糞便検査を行い、寄生虫や食中毒症状を起こす菌の感染がないか、腸内細菌叢は正常かの判断をします。経過が長い慢性腸炎の場合、血液検査・画像検査・食事負荷試験などの検査が必要です。
治療
急性腸炎の治療法はおなかの調子を整えるお薬による対症療法で治療します。
下痢に加えて、嘔吐や食欲不振の症状がある患者さんには皮下補液と吐き気止めのお薬を投薬します。
慢性腸炎の場合は原因により治療法が様々ですが、長期にわたる治療が必要な場合が多いです。
気を付けてほしい注意点
下痢や嘔吐など腸炎と思われる症状が出た場合に気を付けて頂きたい注意点が3つあります。
①下痢に加えて非常に激しい嘔吐を起こし、元気が全くない。
異物を食べてしまった可能性がある。
この場合、腸閉塞が起きている場合があります。腸閉塞の場合、すぐに内視鏡・開腹手術によって詰まっている部分を解消しないと動物の命に関わります。すぐに病院にご来院下さい。
②処方された薬は処方された日数分だけ飲みきる。
急性腸炎の場合、薬を飲み始めて 3 日以内で下痢の症状が治まることが多いです。しかし、3 日程でお薬をやめてしまうと腸内細菌の環境が十分には改善されません。処方された分をきっちりと飲み切りましょう。
③薬を飲み切っても下痢が治らない。
下痢が慢性化している。
この場合、腸に炎症が起こっている以外にも他の病気に罹患している可能性があります。例えば、腫瘍、ホルモン病、膵炎、免疫疾患、アレルギーなどの病気が挙げられます。その場合、エコー検査、レントゲン検査、血液検査などの精査する必要があります。なかなか症状が治りにくい場合は、ぜひ一度ご来院ください。