俺は一時期滝を見に行くのにハマっていた。

滝を見に行くのはそう簡単ではない。
まずネットで滝を調べる。
調べたら分かるが、けっこう山奥にあるのだ。
こんな場所まで運転したくない。


しかし、滝を見たかったら我慢しなければならない。
実際に車を走らす。
ある程度車を走らせると気付く。
悪路すぎる。


運転していてストレスを感じる程の悪路を長距離行かなければならない。
そして、景色は基本変わらない。
川沿いを運転する事になるのだが即飽きる。


我慢して進むと滝を見る為に停める駐車場に着く。
えっ、ここからは歩いて進むの?


怪しい木々が生い茂っていて潔癖症気味の俺には辛い。
出来れば車から出たくなかった。
しかし、ここまで来た以上後にはひけないという気持ちになっている。


獣道を歩き、川の飛び石を越えたり、ぬるぬるの道を進んだり、虫が出てきそうな場所も歩かなければならない。
正直ここが一番キツイ。潔癖症な人間程キツイ。


そして、ついに辿り着く。
滝だ。


苦難を乗り越えたおかげか、かなりの高揚感を得る事が出来る。
一緒に共に歩いた友達も同じ気持ちであろう。



友達は滝を見た高揚感からか急に滝の水飲み始めた。




俺の心の声「えっ、怖くない?」
潔癖症気味の俺はけっして飲む気にはならなかった。
よく分からないけど、寄生虫とか虫とか菌とかいないのだろうか?
ビビリな俺は一滴も飲む事はなかった。



遠い昔話だが、今の俺は思う。
本当に人生を楽しんでいるのは俺の友達なんだろうと。
くそみたいな事を考えて人生を楽しめない俺が悩ましい。


前の記事