生命の始末 |   Flying in the sky Sasuke

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   ~アキクサ達と文鳥のシルバのお話です~

強制給餌を始めたアキクサインコのちゅらですが・・・

強制給餌は中止しました。

 

?????

 

だって、ちゅらが変なんです。

どうした?何かあった?っていうくらいブチ切れています。

まあ、結果としては良好なので良いのです。

この話は次回。

 

本日は文鳥のシルバの話です。

 

ちょうど1年前の9月15日の土曜日でした。

今日みたいに、天気が良くやさしい風が吹いていました。

 

重篤な感染症で入院したちゅらの見舞いに行くため、

支度をしていました。

 

そんな時・・・・なにか大きな音がした訳ではありません。

ただ、家人が震えながらシルバを挟んじゃったと言ったのです。

 

ドアから逃げるようにカーテンレールへ飛んできたシルバの損傷は激しく

絶望的でした。

 

もう、生きていくことは出来ない、無理だ。

病院まで持たないかもしれないけど、命を奪う勇気はない。

 

泣き叫ぶ家族と一緒に安楽死をしてもらうため病院へ行ったのです。

 

診察では予想通り、前向きな話はありません。

上下のくちばしの脱落に加え、くちばしを支えていた2か所の骨の露出。

 

頭では分かっていました。

シルバを送らなければならない、それがシルバの為だと。

だって、ご飯も食べれない、羽繕いもできない、突くこともできない。

生きていけないのです。

 

でも、診察が終わった獣医師の手からすり抜けて、目の前の箱の縁に止まったシルバは、

死ぬことなんて考えてもいません。

くちばしのあった場所は血だらけでしたが、出血は止まり、

呆けたような顔をしてこちらを見ています。

 

その瞬間、

安楽死をすることが、とんでもないことに気付いたのです。

 

今になって思えば、あの時、シルバが初めてペットではないことに気付いたのだと思います。

日本で言うペットという言い方は、生き物だけど、どこか管理しているというか、

可愛がってはいるけど、人とは切り離した存在。

だから、人は癒されていれば満足。

*これはあくまでも私のイメージです。

 

大切なシルバの命の始末を私が獣医師にお願いするなんてありえない。

シルバの命の始末はシルバがする。だから、その時まで支えるのが家族だと。

 

強制給餌のレクチャーを受け、長い闘病生活が始まりました。

 

 

尾脂腺の脂を塗ることが出来ないので、体はいつもフワフワ。

家人が一日に何回も綿棒で拭いていました。

 

 

もともと、痩せていたシルバでしたが、体重は一時、18gまで落ちました。

試行錯誤を重ね、1日4回の強制給餌で実に体重の40%、合計7.2gの給餌を続けました。

それでも、お腹が空いて、お腹が空いて、給餌の用意をしていると、

まだ熱いペーストを直接舐めようとします。

 

 

給餌に対しては反応するシルバでしたが、他の時間は丸まって過ごすだけでした。

唄うことはもちろん、ダンスすることもなく怒ることもなく、ただ、1日4回の給餌を待つだけ。

 

万一の可能性を考えて、むき餌をカゴにセットしていました。

食べようと何度も何度もチャレンジしていましたが、食べることは出来ません。

 

下のくちばしさえ残っていたらと、何度も思いました。

 

シルバのくちばしは、上が根元から完全脱落、下も左は完全脱落、

下の右側の土台が壁のように残っているだけです。

この様な状態では、ザルで水をすくうのに等しいのです。

別の例えをすれば、縦にしたバターナイフを渡されて、縦のままシリアルを

食べるようなものです。

 

強制給餌で命を繋ぐ時間が、10日過ぎ、20日過ぎ、2か月になろうという11月11日。

 

仕事中の私に家族からLINEが送られてきました。

シルバがむき餌を自分で食べていると!!

 

添付画像を確認すると、24.2g

 

 

直前の体重測定では体重は20.2gでした。

 

給餌と給餌の間で4gのむき餌を一気に食べてしまったのです。

お腹がへっていったんだ、ひもじかったんだ。

嬉しいというより、ただただ申し訳なかったことを覚えています。

 

シルバは何十回も、何百回もチャレンジをしてむき餌を食べる術を

とうとう見つけたのです。

右下の残った土台(垂直な壁)に露出した舌(乾燥部分)を瞬時に添えて、受けを作ります。

その受けには数粒しか乗らないので、何度も何度も掘るようにえさ箱へ

顔を突っ込んで量を食べるのです。

 

信じられないことでした。

 

そして、信じられないことは続きました。

 

自分でむき餌を食べれるようになった翌日から、

唄うようになり、飛び方も一変しました。

性格も・・・・・怒るし、怖いし・・・・(笑)

唄いまくり、ダンスしまくり。

尾脂腺の脂も残った土台と角質化した舌を使ってわずかですが、塗っています。

 

その後、シルバは心配していた換羽を乗り越え、乾燥する冬も乗り越え、

春も、夏も乗り越えました。

 

当初は1か月先はもちろん、3日先も考えられなかったのに

事故から1年が経ったのです。

 

シルバの強さには感謝しかありません。

 

という話をシルバにしたら、

文鳥をなめるな!!と言われそうですが(笑)

 

ちなみにシルバの体重は23.4gをず~~っとキープしています。

朝一を除けば、いつ量っても23.4g。

ついばむことが出来ないのに、しっかり自分でコントロールしているのです。

これも、凄いことだと思っています。

 

 

これからも、シルバが元気に暮らしていけるように支えていきます。

 

 

終わり