『父の肖像』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父が亡くなった。

奇遇にも、

エリザベス女王の訃報と殆ど同時刻に。

 

 

 

寝たきりで言葉も満足に発せられない父が、

目に涙して僕の手を力強く握ってくれた。

それが、僕との生前のサヨナラとなった。

 

 

姉と口論して、

僕は、通夜には出れなかったが、

告別式には出る事になった。

 

まぁ、坊さんのお経は1回でいいかな(笑)。

 

 

父には感謝している。

周りが思うより、僕は父に憧れていた。

いい意味でも、悪い意味でも、

強い人だったし、自分本位な人だった。

 

遺影の父は、笑っていた。

僕は一度も見たことがない表情で意外だった。

いつも怒っているような顔を父はしていた。

 

うちの家族は、

ちょっと変わっているし、喧嘩も絶えない。

一般的な家族愛ではない。

 

危ういバランスで動いている。

そんな中で、父は死んだ。

 

死に顔を見ていたら、

ちょっとだけ父の事がわかった気がする。

 

父は僕を愛してくれていた、のだと。

僕に救いを求めていた、のだと。

たぶん。

 

助けられなくて、ゴメン。

もっと手を差し伸べれば良かったかな。

 

もう、遅いけど。

 

 

でも、握手した時、

父は生きていた。

喋れなかったが、反応してくれた。

想いはその時伝えられた、と思う。

僕のエゴかもしれないけど。

 

 

父は、大きな骨壺いっぱいの骨となった。

 

 

 

 

 

2022年、我が父への、追悼作品。

 

 

最後に。

心はいつもあなたと共に。

 

父よ、安らかに眠れ。

A Long Goodbye... 👋