慟哭
「アタイはね、パンミミを食って育ったんだ」
「来る日も来る日も硬いパンのミミを齧って、腹を膨らませたんだ」
「仕舞いにはパン屋の親父がこう言ったんだ」
「お嬢ちゃんちは小鳥を何羽飼ってるんだい?ってね。蔑むような目で言ったんだ」
「それでもアタイは笑顔を作って、お礼を言ったよ」
「ありがとう、って、震える声で言ったよ」
「肩をポンと叩かれたら、今にも泣き出しそうだったよ」
「背中をポンと押されたら、喚き散らすところだったよ」
「それでもアタイは、小さな握り拳ひとつ作って耐えたよ」
「手渡された袋の中のパンミミが、アタイたち姉弟にとって大事な食料だったからね・・・・・・」
12歳
「夏の暑い日だった。蝉なんかね、そりゃもう地球の最後かと思うくらい全力で鳴いてたよ」
「公園の公衆便所でね、おっさんのナニをさ、
アイスキャンディーを舐めるみたいに美味そうに、ペロペロペロペロ舐めてやったんだ」
「鼻にツンとくる、むせかえるような臭いと、
アタイの手の平の中で段々硬くなっていくおっさんのナニ」
「・・・・・・今でも忘れられないよ・・・・・・」
「あの公衆便所で、少女だったアタイは死んだのさ」
「どういう意味かって?野暮なこときくんじゃないよ。つまり女になったってことさ」
「アタイはね、おっさんにもらったくしゃくしゃの千円札で本物のアイスキャンディーを買ったんだ」
「弟と二人、並んで夕陽を見ながら食べたアイスキャンディーは、涙のね、涙の味がしたよ」
「全然甘くなかった、全然美味くなかったよ。しょっぱいしょっぱい涙の味がしたよ」
「あのわびしさは絶対に忘れないよ・・・・・・」
嘲笑
「そうさ、アタイは見ての通り育ちの悪いビンボー人さ」
「ボルビックだかエビアンだか知らないけどね、
水を買って飲むような、水道の水を浄水器無しで飲めないような、そんな時代にアタイはね、
公園の水を飲んで、泥水を舐めて、這いつくばって生きてきたんだ」
「笑いたきゃ、笑いなよ」
「ビンボーニンビンボーニンって指差してさ、あの日アタイを嘲ったアイツラみたいに笑えばいいよ」
「・・・・・・どうだい?満足したかい?」
