「美和子!!
ちょっと美和子!!!!」
京子は美和子の腕を掴むと
人目の付かない場所に引っ張り込む。
「わ、なになに、
どうしたのよ京子」
私なにかした?という美和子に
なにか、じゃないわ、と
京子が詰め寄る。
「お兄ちゃんを見かけたって本当?」
あ、と
美和子は気まずそうに視線を逸らす。
「どこから聴いたの?」
「回り回って!!」
「内緒にしててって言ったのに」
誰のことを言っているのか分からないが
もう、と美和子は不満げに言う。
「内緒って何!!
どうして、隠すの!!!」
「違うわよ、落ち着いて。
黙っていたのは悪かったわ」
ごめんなさい、と
美和子は京子をなだめる。
「似たような人を遠くから見ただけなの。
一瞬だったし、西一族の格好じゃなかったわ。
きっとただの勘違いよ」
「……でも、似ていたのね」
ほら、と美和子は言う。
「あなた必ずそうなるでしょう。
確証が出来ないから
期待させたく無かったのよ」
耀が、生きているかも知れない。
間違いかも知れないが
今の京子にはそれだけで十分だ。
「どこで、見たの?」
「だから、ごめんなさい。
勘違いよ」
「どこで?」
「京子」
「いいの、間違いでもいいから。
お願い教えて」
美和子は京子のためを思って言っている。
人違いであれば
立ち直れないかもしれない。
それでも。
「美和子、お願い」
ため息をついて美和子が答える。
「北一族の村よ」
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