ところで 義父は 義母の事覚えてるのか?



ある日 病院を訪ねた時 



義父

「お袋は 全然会いに来ないけど 元気にしてるのかな?」



旦那さん

「え?母さん?」



義父

「こっちに来て 一緒に住もう!って、ずっと言ってるのに 知らない街で住むのは嫌だ、友達と離れるのは嫌だ!って言うから 未だ大阪で1人だろ?心配だな…。」



旦那さん

「あぁ〜 大阪のお婆ちゃんね!」



義父の母

旦那さんにとっては祖母


大阪のお婆ちゃんは、私達が結婚する1年前に亡くなってます。



旦那さん

「また お婆ちゃんの様子 俺 見てくるよ!」



義父

「悪いけど そうしてくれる?俺も一緒に行きたいけど 医者が ダメダメとうるさいから!!」



義父は、義父のお母さんの話はよくするけど 義母の話は全く!

本当 びっくりするくらいしませんでした。



そんな義父 

入院してすぐ、隙あらば 他の患者さんのお見舞いに来られた方に混じり病院を抜け出そうとするみたいで

玄関で見つかり 病室に連れ戻される事が度々あった様です。

そんな義父 連れ戻される際 看護師さんを怒鳴ったりして 終いには手のかかる患者扱いをされら様になりました。



そんなある日 病院へ行くと 義父は車椅子に座ってました。



旦那さん

「え?父さん!!どうしたの?足 怪我した?」



すると、看護師さんが来て

「お薬がきつくて フラフラされたから 危ないので 車椅子に座ってもらってます。」



え?何の薬?

私は 少し 怖くなりました。



こんな事言ってはダメなんだろうけど

もしかしたら 徘徊が酷いので 動けない様に薬を飲まされたのかな?

って、思ってしまいました。



この車椅子がきっかけになったかは分からないけど 義父は だんだん足が弱り 長く歩けなくなり、歩いても ヨロヨロして転倒する事も。



こんな短期間で、こんなに弱るんだ…

人間って脆い…

痛感しました。




そんな時 お義姉さんの娘さんの結婚式があり、義父を招待したとかで、旦那さんと私とで 病院へ迎えに行き 式場まで連れて行く事に…



着替えはホテルでするので 礼服一式 車椅子等車に積み込み 後部座席に義父を乗せ 式場へ。




式場に着くと ここは何処なのか?いったい何をしに来たのか?

義父は分かってない様に感じました。



花嫁の孫が

「お爺ちゃん!来てくれてありがとう!」

と、ドレス姿で駆け寄って来たのだけど 

「おめでとう!」の言葉もなく 戸惑っていた様に見えました。



ただ、礼服を着る時は、シャキッと立ち ネクタイを結び、ネクタイの形を整えて上着を羽織る時の凛とした姿は 現役時代の姿を思い出させました。




式場では、車椅子で移動。

その際 旦那さんは ずっと車椅子を押して トイレも、連れて行き 誰に任せる事もなくお世話してました。



私は 旦那さんが、あそこまで義父のお世話をするなんて思ってもいなかったので、びっくりしました。

そして、ホッと…

いえ、

気持ちが ホッコリしてました。



披露宴での食事の際

義父は 昔から食べ方は とても綺麗で、

それは 認知症になっても変わりなく

出されたものは 全て綺麗に完食してました。

その後は ずっと居眠りしてました。



式が終わり 病院へ送って行くと



お腹いっぱいのはずなのに

病院の夕ご飯を 綺麗に残さず食べてました。



そして、私たちが帰る時

「今日はご馳走様でした。お袋によろしく伝えて下さい!」

そう言って エレベーター前まで見送ってくれました。





それから ひと月もしないうちに

義父が 誤嚥性肺炎になったと言われ

絶飲食に…



栄養や水分は 点滴から…



ここでは、食べる事だけが楽しみだっただろうに…



そのうち みるみるうちに痩せて 弱って行きました…



入院して まだ、1年も経ってないのに?



歩けてたのに 歩けなくなり

食べれてたのに 誤嚥性肺炎になり食べれなくなる…



この病院は

回復して退院するところではなく

退院する時は 亡くなった時…



考えたくはないけど 少しずつ弱らせて……



いや〜

ダメダメ!!

そんなこと考えてはダメだ!!!



だけど 考えてしまう……。




そんなある日 看護師さんから耳を疑うような事を聞かれ 戸惑いました…。