映画『博士の愛した数式』(日本、2005年) | 落語探偵事務所

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映画『博士の愛した数式』日本、2005年、を午後に観ました。

10年程前に公開された時に一世を風靡した記憶はありますが、観るのは今回が初めてです。

(公式HPありました。→http://hakase-movie.com/

交通事故の後遺症で記憶が80分しか保持できない数学の博士(寺尾聡)と、その博士のもとへ派遣されたシングルマザーの家政婦(深津絵里)、そして10歳で野球少年の家政婦の息子(斎藤隆成)、の3人が織りなす物語を描いた映画です。

この野球少年の息子が成長して中学の数学教師(吉岡秀隆)となり、新年度の第1回目の授業で生徒に向けて自らと博士と母親との3人の関わりを述べながら、数学の面白さや歴史を語る、という形式で展開します。

数式の美しさ、数の不思議さといったことを愛する博士の変人ぶりや、博士の80分しか記憶が持たずにリセットされるとか、3人とも阪神タイガースのファンで背番号11は村山だし28なら江夏とか(阪神ネタは原作の小川洋子の趣味の様です^^)、友愛数の話や完全数の話とか、奇天烈すぎやしないかと思われる設定や小ネタが満載されていながら、話としてとっても美しくまとまっています。

たぶん監督の小泉堯史(脚本も)はこの「数式の美しさ」ということを、小ネタだけでなく映画全体でも表現することに拘ったのではないでしょうか。そして、それは成功しているのではないかと思います。

また個人的には、線分の話しが後のストーリーへの伏線になっていたことに驚き、また素晴らしく思い、ツボにハマりました。

博士と彼の面倒を見る未亡人である義理の姉(浅岡ルリ子)との間には過去にただならぬ関係となったことが暗示されていますが、全体としてあまりハードでドラマチックなこともなく、比較的に坦々とストーリーは展開されます。

ロケでは長野県の各地を回ったそうで、美しい風景に包まれたシーンも魅力的です。

心がピュリファイされるとてもいい映画でした。

芥川賞作家である小川洋子の原作も読んでみたくなりました。

日曜日の午後を素晴らしい映画を観てすごせました。