立川談四楼『記憶する力 忘れない力』 | 落語探偵事務所

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☆立川談四楼『記憶する力 忘れない力』講談社+α新書、2010年、を読みました。
☆立川流真打である立川談四楼師匠が自らの落語家人生を、談志師匠に入門を志願し1年間の付き人生活を経て前座となり、二つ目、真打、そして現在まで、如何にして噺を覚えてきたのか、また記憶力を如何にして仕事に使ってきたのかということを軸にして語った本です。
☆印象に残ったエピソードで、北関東の群馬県出身の談四楼師匠には、自分では気が付かない「訛り」があり(群馬・栃木・茨城の北関東3県の出身者は「首都圏に住んでいるから自分は訛りはない」と思っているけれども訛りのある方は今でも多いです)、談志師匠はそれを直させるために「ラジオから聞こえるアナウンサーの声のあとに続けて喋れ」と指示したという話があります。21世紀の今現在の英語などの語学教育ではメジャーとなった「シャドーイング」の先取りです。当時としては斬新な指導だったのではないでしょうか。
☆本書は記憶のノウハウ本ではありませんし、落語の覚え方を知る本でもありません。しかし、社会人なら知って損はない「記憶するということについての意味・意義を語った本」として一読の価値のある1冊だと思います。