映画『借りぐらしのアリエッティ』(日本、2010年) | 落語探偵事務所

落語探偵事務所

落語・講談・浪曲、映画、囲碁・将棋、文学、漫画、その他備忘録を兼ねて綴ります。読みたい本、観たい映画、聴きたい落語、並べたい名局、たくさんあります。書き過ぎでネタバレするかもしれないのでご注意ください。

☆映画『借りぐらしのアリエッティ』、スタジオジブリ、2010年、を観てきました。
☆小中学校、高校の夏休みが終わり、子供たちがいない時期を見計らっての観賞です。
☆観終わった後は、「久しぶりにいい映画を観た」という充実感でいっぱいでした。ラストシーンではおもわず涙してしまいました。
☆「ジブリは『崖の上のポニョ』で完全にぶっ壊れた(笑)」と思っていたのですが、この映画を観て、「ジブリは復活した」と思い直しました。
☆ここ20数年、ジブリの作品は欠かさずに観てきましたが、15年前の『耳をすませば』(これはジブリ作品中屈指の名作と思われる)と並ぶ「成長物」の名作ではないかと感じました。
☆「人間に見つかってはいけない。見つかったら住み家を移らなければならない」という小人のアリエッティ一家には、今は「中流」「中間層」だが、いつでも「下流」「下層」へ落ち込みかねない不安定な状況にある現代日本の「中流」「中間層」の姿が重なります。
☆また、両親は離婚し、父とはめったに会えず、親権を持つ母親は外交官の仕事があるためやはり一緒にいる時間が少なく、心臓に病気を抱えて手術を数日後に控えているのに母親にかまってもらえない12歳の翔の姿は、現代日本の「機能不全家族」の姿そのものであり、珍しいものではないのでしょう。
☆そんな環境で育った翔がなぜひねくれもせず、心優しい男の子として成長してきたのかについては疑問もありますが、アリエッティと翔とのやり取りの描き方がとても素直なものに感じられ、ストーリー全体が清々しいものとなっており、観ていて気分が良くなり、観終えてからは何ともいえない元気が湧きました。それは不安定な「中流」「中間層」が生き抜いていこうというアリエッティ一家の姿と、機能不全家族を突き抜け、手術を恐れずに受けようと決意する翔のちょっと成長した姿に対して共感し、彼らに心の中でエールを送り、そして「自分自身もこの社会を生き抜こう」という決意を新たにさせられたからだと思います。
☆『借りぐらしのアリエッティ』は、観て元気になれる映画です。万人におすすめできる映画だと思います。まだ観ていない方はぜひ、どうぞ。